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2005/02/14
地域で小学校を運営する足立区立五反野小を仙谷政調会長視察


 「子ども=子育て」重視の観点から3・5兆円の「子ども手当」を民主党予算案に創設し、公教育の現場重視の姿勢を示すなど、子どもたちの教育に一層注目している民主党政策調査会長として、仙谷由人衆議院議員は14日午前、東京都足立区立五反野小学校を訪れ、新しい学校運営のあり方を視察した。

 同校は公立学校の教育改革を進める新制度として注目を集めている「地域運営学校」。地域のニーズを学校運営に反映すべく、地域・保護者・学校・行政の代表者でつくる「学校理事会」が示した方針をもとに独自の授業を行い、成果を上げている。従来の公立校は校長のカラーで教育方針が左右されがちだが、ここはあくまで学校理事会がリードして学校が運営される。校長の公募にも取り組み、平成16年度4月1日から都の公立小学校としてははじめて、民間出身校長の着任も実現させた。学校理事会では「めざす学校像」「望む校長像」「望む教師像」「望まれる家庭像」「望まれる児童像」の5つを学校・家庭共通の目標と定め、地域に広く発信。まさに地域ぐるみで子どもを育てる町となっている。

 仙谷政調会長ら視察団はまず、1年生の国語の授業を参観。1組から3組まで順に教室を見て回った。子どもたちは声を合わせ「新犬棒かるた故事・ことわざ解釈一例」と題した模造紙に並んだ故事・ことわざをスラスラと元気いっぱい読み上げていく。「今度はスピードを上げて」の先生のリクエストにも難なく応え、「理屈と公約はどこにでもつく」などの、1年生には難解ともいえるものもテンポよく、ぴったり一致した声が教室中に響き渡る。「耳で慣れる・繰り返しで覚える・抵抗なく自然に身につく」の最たる例で、語彙力不足が指摘される最近の教育現場とは正反対の状況がそこにある。

 参観後の大神田賢次理事長、三原徹校長らとの意見交換の場で仙谷政調会長は「地域の中でしか教育は成り立たないということを大人たちは忘れていた。五反野小学校の関係者、とりわけ地域のみなさんが地域の力で学校を再生させた試みをされてきたことに深く敬意を表しながら、教育の世界でもう一度現場主権の教育が行われるためには、われわれ(政治)の側でやらなければならないのは何か、勉強していきたい」と語った。

 大神田理事長からは「学力を上げてほしい」「挨拶ができる子どもにしてほしい」との地域の要望が理事会から出され、計算・漢字などの反復練習で基礎学力向上を図る「パワーアップタイム」が「すがすがしい気分で臨めるし、脳の活性化にもつながる」始業前の15分間に設けられたり、校門前の通りを「あいさつ通り」と命名し、児童たちで組織された「挨拶隊」が毎朝校門前に立つなどの取り組みにつながったとの説明があった。

 三原校長からは教職員にパソコンを支給し、日常的に日々の記録を打つ込むことで報告書や通知表の作成等に役立てるなど「業務の効率化」を実現したことや、ホームページや校門前に設置した学校掲示板を通じて「学校の情報公開」を徹底している点、「顧客ニーズを知る」として、「学校評価シート、授業診断シート」の取り組みについて説明があった。

 「シート」は同校の特徴的な取り組みで、6月と10月の学校公開時に来校した保護者や地域の人々に配布され、評価はその後、学校や教師本人に戻され、授業に反映される。三原校長によれば、「先生たちにとって診断されるのには最初、かなり抵抗があったようだが、今ではよりよい授業を実現させる貴重なデータなのだ」という。

 評価の集計をもとに教職員は、(1)学校理事会が定めた「めざす学校像」に基づき、どういう方針で授業を進めているかを再確認し、(2)授業診断シートを読んでどう感じ、今後どうアクションしていくか検討、(3)(2)を実現していくために、地域のみなさんにどんな協力か提示する。そして、学校理事と教職員との意見交流会で、課題の洗い出しや新たな目標設定などを徹底して話し合う。批判のための評価ではなく、大神田理事長の言葉通り、「子どもたちのために、地域・教職員となってつくりあげていく仕組み」である。視察に同行し、2000年度から同校を見続けてきた鈴木寛議員も「先生の指導力もどんどん上がっている。驚くべき変化だ」と語った。

 視察には古川元久、城島正光、古賀一成、笠浩史各衆院議員、広中和歌子参院議員が参加した。
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