前原誠司代表は17日午前に行われた民主党2006年度定期大会で挨拶を行い、対案・提案路線の徹底と「選択と集中」の必要性、税金のムダづかいをめぐる改革競争に臨む基本姿勢、『公(おおやけ)』の精神の重要性とあるべき社会の姿、外交・安全保障政策に関する基本姿勢などについて語り、政権交代の実現と、党の政策の実現に向けた決意を改めて示した。
前原代表はまず、先の総選挙の結果を振り返り、「大敗は大敗として、潔く受け入れなければならない」としつつ、小選挙区で党始まって以来の2480万票を獲得したことに関し、「自信と誇りと責任感をもって、これからの党再生に向けて努力をしていかなくてはならない」と強調した。
その上で、「われわれが政権を獲った時には、どういう政策で、どういう対応をしていくのかということを示し続けること」の重要性を指摘し、次期通常国会においても対案・提案型路線を徹底すると言明。効果的に論戦を行うために、全ての法案に、法案として対案を示すのではなく、「選択と集中」の考え方を貫くことを改めて表明した。
前原代表は更に、最も危機的な問題として財政の問題を指摘。「財政再建に対する骨太の対案をしっかり示すことが、何よりも重要な政権担当能力を示すポイントになる」と述べた上で、「行革なくして増税なし」との方針を改めて強調し、徹底的に税金のムダづかいを洗い出す決意を示した。
そして、特別会計改革、公共事業改革、公務員制度改革、分権、省庁再々編の5つの分野にわたって対案を示し、「ムダづかいをなくすための真の改革競争」を行っていくと前原代表は改めて表明。それぞれの問題で具体的な考えを示しつつ、特に「行財政改革の本丸」として地方分権を挙げ、権限・財源を移譲していく中で、分権型社会の形成に向けた強い決意を披露した。
前原代表はまた、現在の日本社会が抱える二極化の現象に強い懸念を示すとともに、「官の責任放棄、民の倫理観低下という事態」にも憂慮の念を表明した。前原代表はその具体例として耐震強度偽装問題を指摘しつつ、「『公(おおやけ)』の精神」の重要性を強調。「短絡的な競争原理、表面的な効率化を追い求める自民党との根本的な違い」を明確に提示した。
また、自らが京都市立西総合養護学校を視察した経験などにも言及しつつ、コミュニティー・スクールこそ分権社会の一つのモデルであると指摘し、「官から民の流れで受け止められないような政治スタンス」や「お金だけではない、心で繋がりあえる社会」について言及し、民主党の立つべきスタンスを指し示した。
外交・安全保障政策に関しても前原代表は触れ、先の訪米・訪中に触れ、「米国に対しても、中国に対しても、言うべきことははっきり言うという一貫したスタンスで臨んだ」ことを強調。岡田克也前代表が提唱した、「開かれた国益を追求する外交」を行っていくため、その具体像をしっかり示すとした。
最後に前原代表は、「国民の皆さま方に、平和と安寧の心をもたらす国づくり、地域づくり、世相と社会の醸成」に努力していくため、徹底した党内議論を行っていく決意も示し、「今一度、立党の精神と原点を再認識し、生活者、消費者、納税者の立場に立った、真の国民政党をめざすことを、ここに改めて誓い合いたい」とし、「政権交代で政権を獲得し、われわれが研鑽を積み重ねた政策を実現することこそが、唯一われわれ民主党の責務である」ことを互いに確認し、共通の認識をさせていただきたいと述べて、大会挨拶を締めくくった。
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