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2005/02/27
岡田代表、太田・前橋市で地域に即した政策めぐり市民と意見交換


 岡田克也代表は27日午後、昨年から行っている地方視察の一環として群馬県を訪問。太田市で行われた同県第3区総支部主催の「外国人と共生するまちへ」と題するシンポジウムに参加するとともに、前橋市内で開かれた対話集会に出席し、群馬県が抱える諸問題、政治課題等について市民と話し合った。

 約250人が参加した太田市のシンポジウムでは90年の入国管理法改正以降、外国人労働者が増大し、共生に向けた環境整備が急がれる実態を踏まえ、意見交換が行われた。柿沼正明同県第3区総支部長は主催者挨拶で「太田市周辺は外国人労働者の居住地域。身近に抱える問題としてご意見を」と述べ、群馬選出の富岡ゆきお参議院議員は「現場からの声を聞いてマニフェストにも盛り込めるよう、理解を高め合う場にしたい」と語った。

 清水聖義太田市長は、「国は金銭的な配当も、抜本的な改革もないままに今に至る」とした上で、自治体独自に教育特区として取り組んだブラジル人児童をサポートするバイリンガル教師の配置等の実践例を紹介。「地方でできることはやる。しかし、地方でできないことを浮き彫りにし、国の政策として実現してほしい」とし、岡田代表に期待感を示した。

 シンポジウムでは16年間にわたってブラジル人の雇用を続けてきた自らも日系ブラジル人の谷井甚治NKK社長、研修制度でインドネシア人を受け入れてきた京和装備(株)常務取締役の吉野明俊氏、教育特区でバイリンガル教師として太田市がブラジルで現地採用し教壇に立つ坂本裕美氏、太田国際交流協会事務局長の北沢純一氏らが、それぞれの立場から提言した。外国人労働者の日本社会への適応促進と日本側の諸課題解決に効果的だとして谷井氏は、外国人労働者数の1〜2%にあたる同国出身の外国人を外国人労働者ケアの人材として配置する必要性を指摘。吉野氏は研修制度で来日した外国人労働者の社会保障制度のあり方、坂本氏は母国語も日本語もおぼつかず、基礎学力習得など到底期待できない外国人労働者の子どもたちの教育環境整備の必要性、北沢氏は外国人労働者に対し、現状に即した省庁横断的な対応の重要性などを強く指摘した。

 それに対して岡田代表は「国の方向性が定まっていないことがそもそも問題」と述べ、民主党として昨年からプロジェクトチームをつくって、問題解決に乗り出したことを報告。国としての制度を早急に整えるよう政府にも提言していくとの方針を示した。

 前橋市内で行われた対話集会では、高橋仁同県第1区総支部長がまず「地方は自分のことは自分でという流れが出てきている」と語り、地方分権の必要性を改めて指摘。その実現に向け、政権党として尽力したいと語った。現在は会派を離れ、参議院副議長職にある角田義一参議院議員も「知性と教養は十分。あとは政権取りに執着すべき」と力説した。

 続いて行われた講演で岡田代表は民主党が考える年金制度について改めて説明。同時に「子ども=子育て支援」を重視するとの観点から「平成17年度民主党予算案」では、少子化に歯止めをかけるべく子育て家庭の経済的負担軽減に向け、15歳までの子どもにし支給される子ども手当総額3・6兆円を創設したことを報告した。

 続く質疑応答では予定時間をオーバーして、12人の参加者から質問が相次いだ。高速道路無料化を求める声に岡田代表は「これは先の衆院選挙で民主党がかかげたマニフェスト。実現にむけ継続的に取り組んでいく」と回答。憲法改正をめぐる民主党の姿勢に対する質問には「環境権や地方分権・地方自治などを盛り込むための改正案ならば合意できる」とした方向性を示した上で、憲法9条をめぐっては「国連決議がある」との前提に立った平和構築のための自衛隊の国際貢献の範囲拡大に向けた改正論議であり、「自民党がいう集団的自衛権を認めるという発想は私たちにはない」と明言した。

 集会後に岡田代表は記者団から問われ、「率直にたくさんのご質問いただきよかったと思う」と述べた。また、与党側が求めている社会保障制度改革に関する与野党協議について問われたのに対しては、年金に関する協議を先行させるべきだとの考えを強調した。

 なお、今回の視察には役員室次長の阿久津幸彦衆議院議員が同行した。
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