ニュース
ニュース
2005/10/03
【衆院予算委】古川議員、がん患者支援の施策などについて問う


衆議院予算委員会で3日、予算の実施に関する一般質疑が行われ、民主党の古川元久衆院議員は、社会保障制度のあり方やがん治療などについて関係閣僚に質した。

 古川議員は冒頭、人口減少・超高齢化社会の到来によって、年金・医療・介護など今まで家庭や会社が担ってきた部分の社会保障が今後、政府の役割となると指摘。政府が「社会保障を中心とした社会的セーフティネット」を構築して、人を支え育てる役割をきちんと果たすためにも、財政健全化が必要であるとした。

 政策経費の4割を占め、年1兆円近く増加する社会保障費を「身の丈に合った」「持続可能なものにしてゆくこと」が大事だとする谷垣財務相の答弁に対して、古川議員は、民主党はこれからも「財政の役割はヒトへの投資」という観点で、予算配分をチェックすると表明した。

 古川議員はまた、社会保障制度改革について、年金による老後の所得保障をはっきりさせたうえで、医療や介護でいくらまで負担をお願いできるのかが筋ではないかと尾辻厚労相に質問。尾辻厚労相は「社会保障全体のバランスとして考えてゆきたい」と明確な答弁を行わなかった。 さらに古川議員は、年金保険料の徴収方法や電話相談業務などを例示し、村瀬社保庁長官に対して、コストパフォーマンスを比較した、「お役所仕事」ではない改革への議論を行うよう求めた。

 年金一元化については「公的年金制度の最大の問題は国民年金」との認識を示した上、国民年金加入者の内訳をめぐる政府の説明を追及。自営業者は17.8%、無職は34.7%を占めるとして、「国民年金は自営業者等の年金であると、政府がいつまでも言い張るのは事実誤認」だと厳しく指摘した。「自分の将来のための積立」から「世代間の助け合い」などと変わった政府による年金制度の説明も例に挙げ「都合の悪いところは、状況認識をいつまでも変えない」と政府の姿勢を批判した。

 古川議員は次に、「政治の最大の責任は国民のいのちを守る取り組みをすること」として、対応が急がれるがん対策について質問。厚労省の「がん対策推進本部」を例に、政府内の連携のあり方を見直してほしいと求めるとともに、がん登録の実施状況について説明を求めた。尾辻厚労相は「第3次対がん10か年総合戦略」に基づき、政府全体の取り組みを緊密に進めるなどと約束し、がん登録については「標準登録様式」の普及促進が重要であり、拠点病院を中心に対策を進める努力をすると答弁。現状の情報をきちんと集める態勢をとるようにと古川議員は求めた。

 このほか古川議員は、がん治療に関する専門知識を有した医者・スタッフを育成することが急務であるとして、尾辻厚労相・中山文科相に認識や両省の今後の取り組みを質し、「数値目標など具体的なプログラムがなければいつまでも専門医は増えない。いのちがかかっている患者さんたちは救われない」などと、ガイドライン策定などを強く求めた。

 がん患者の強い要請で設置されるようになった「がん情報センター」について、尾辻厚労相は「総合的ながん医療情報の収集および分析を行い、医療従事者、国民、患者に対し、広くがん対策に関する正確な情報の提供をはかる計画で概算要求を行った」などと表明。ネットワークの作り方や運営のあり方などについては「患者の皆さんも含めて意見交換をして進める」との姿勢を明らかにした。

 古川議員は最後に、未承認抗がん剤や保健適用外薬の使用について質問。「治験を促進する仕組みを考えないといけない。がんの問題に関わらず、有効な新薬が使えない患者さんはたくさんいる」と指摘したのに対して、尾辻厚労相は「抗がん剤併用療法検討会」による30種類の懸案の薬に関する検討が終わったが、「国内外で有用性が確認されたものについては、新たな臨床試験を不要とするなど、抗がん剤の適用外使用に関する承認が迅速に行われるように対処する」などと答弁した。
記事を印刷する