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2005/10/07
【衆院郵政特】馬淵議員、政府の郵貯民営化による金融排除質す


衆議院郵政民営化特別委員会で7日、政府案の対案となる民主党による「郵政改革法案」の法案提出者のひとりである馬淵澄夫議員が質問に立ち、首相はじめ、関係大臣に質した。 

 地域の金融インフラを担い、庶民の経済ライフラインに他ならない郵便局の位置づけが、政府案成立後は憂慮すべき状況に陥る可能性がある点を指摘。「これは杞憂か」と馬淵議員は述べ、小泉首相の見解を質した。首相は「時代が変わり、人も変われば、当然、事業も変わっていく。同じ郵便局においてもさまざまなサービスが展開される。ずいぶん変わっていくだろう。時代の変化にどう対応していくかだ」などと語った。

 現状維持を主張したわけではないことを明確に否定した上で馬淵議員は、現時点で国民が当然の権利として持っている金融インフラの堅持が何よりも重要であると改めて指摘した。そうした見地に立って馬淵議員は郵貯の民営化による金融排除の問題を取り上げ、アメリカでは約1100万世帯が口座を持てない状況に陥っている背景には口座手数料が壁となっていることを提示。口座手数料を嫌う低所得者が銀行口座を持たない状況となっていることを明らかにした。

 同時に、「未曾有の低金利時代にあっては、小口の金融にはきびしく環境が激変していく可能性がある」と馬淵議員は指摘。現在は銀行より低く抑えられている振込み手数料等が引き上げられていく可能性があるとともに、小泉政権下で進んだ二極化は貯蓄なし世帯と高額貯蓄者の顕在化によりがさらに深刻化するとして、「ライフラインとしての金融は守れるか」と質問した。

 それに対して首相は「いままでの機能が維持されるようなさまざまな措置をとっている」とだけ答弁。竹中郵政民営化担当相は「金融排除は重要な問題」とする認識を示したが、口座手数料の云々によって金融排除に広がるということではないなどとし、「気を配らなければならないという認識はもっている」と答弁するにとどまった。

 馬淵議員は「問題が起きていないから法律で義務づけないというのは問題」として、民主党は国が行うべきものは何かを明確に国民に問う姿勢が基本だと主張。社会現象として切迫した問題が起きてから対応するのは後手後手の動きに他ならないとして政府の姿勢を批判し、「改革を進めるならば、一歩先んじて、法律での義務化を行うべきだ」と指摘した。

 そのほか馬淵議員は、郵貯・簡保の民営化による民業圧迫の危惧について言及。また、民主党案が示す預入限度額の段階的引下げによって、官から民への資金の流れが実現することを改めて示した。
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