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2005/10/11
【衆院郵政特】三谷・篠原・石関議員が質問 民主党提出案は否決


11日午前、衆議院郵政民営化に関する特別委員会において、民主党・無所属クラブからまず三谷光男衆院議員が質問に立ち、竹中郵政民営化担当相などに郵貯銀行のあり方の問題点などを体系的に質問した。

 三谷議員は、政府の郵政民営化の仕組みの中で重要な役割を果たすことになっている「郵政民営化委員会」の委員が、どのような人選となるのかを質問した。竹中担当相は経営の自由度と民業圧迫のバランスを取ってなどの抽象的な答弁を行った。

 三谷議員はさらに、郵貯銀行の業務拡大に関する民営化委員会の判断基準を問い質したが、担当相は「仔細に決めると現実的な対応を限定する」と明言を避けた。しかし、委員会の意見について公表すること、さらには委員会自体としてガイドラインを決めることもあり得るとの答弁を得ることができた。

 三谷議員は、政府案の郵貯銀行は郵政持ち株会社による株式の買い戻しなどによって実質上の政府保証があり、純粋の民間銀行とは言えないと質したが、担当相も金融相も民間銀行であるとの建前論の答弁に終始した。三谷議員は、この民営化は国民に歓迎されるものではないと述べ、質問を締めくくった。

 三谷議員に続いて、篠原孝衆院議員が質問に立ち、郵政民営化に関する地方の実情、郵政改革と農協改革の共通性などについて質問を行った。

 篠原議員は、通常国会での議論を踏まえないで議論が進んでいるのではないかとし、郵政民営化法案が、衆議院では可決され、なぜ参院で否決されたかについて、「参議院の方が地方の声が入りやすい」からではないかと指摘。同じ料金で山間部の全てに各戸配達するのは新聞では無理だが、郵便はできるのか、質問した。竹中担当相は、「郵便のユニバーサルサービスは義務づけられている」などとした。篠原議員は、「できるものと、できないものがある」と地方の実情を踏まえて反論し、地方への配慮の必要性を強調した。

 また篠原議員は、郵政改革との関連で、農協改革の現状についても質し、その共通性を指摘。解体・分断ではなく、地方を支える意味で両者の合体も視野に入れた提案を、個人的意見と断りつつ述べ、政府側からは両者の協力の重要性について答弁があった。最後に篠原議員は、日本社会におけるネットワークの重要性についての学識経験者らの指摘を紹介し、質問を締めくくった。

 続いて、民主党・無所属クラブの三番手として、石関貴史衆院議員が質疑を行った。石関議員は冒頭、民主党案と政府案の最大の違いとして、「郵貯・金融のユニバーサルサービスを、しっかり約束しているか否かだ」という点を指摘。「経営者の利便は確かに高まるが、利用者の利便は全く担保されていない」のが政府案だとし、民主党案が、金融のユニバーサルサービスを確保することについて、国が責任をもって行うとの仙谷議員の答弁も引き出した。仙谷議員は、「単に民間企業がやればうまくいくという話ではない」として、JRなどの例を挙げ、「必ず公的な助成が必要になってくる」とも指摘した。

 石関議員は、「郵貯を普通の銀行にしてしまう」ことについて、休日の手数料の問題などの例も挙げて懸念を表明し、「国民からすると大変なマイナスだ」と厳しく指摘した。また、郵政民営化準備室が昨年4月からこれまで米国関係者と18回もの会談を行った答弁を引き出した石関議員に対し、竹中担当相は、米国側の主張を聴取し、日本側から基本方針・内容を説明していることを明らかにした。石関議員は、政府側の米国への「ご注進」とも言える政治姿勢に苦言を呈した。

 また石関議員は、郵政民営化で借金が減るのか、「大変疑問だ」とした上で、現在の国債残高と民営化が完了する時点での国債発行残高の見通しや、郵政民営化による国の歳入増の見通しを質した。谷垣財務相や竹中担当相の答弁に対して石関議員は、「本丸というより、小さな出城一つをとったようなメニューだ」などと述べて質問を締めくくった。

 質疑終了後、民主党提出の郵政改革法案と内閣提出の郵政民営化関連六法案について一括して討論が行われ、民主党・無所属クラブからは石関議員が討論に立った。採決の結果、郵政改革法案は賛成少数で否決、郵政民営化関連六法案は賛成多数で可決された。
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