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2004/08/11
【地方議員フォーラム】分科会で地域の重要テーマを議論


 東京都内で開かれている民主党地方議員フォーラムは11日午前、前日に続いて研修会を実施。この日は、農業政策、市町村合併問題、商店街活性化問題の3つのテーマで分科会を行った。

 分科会1では「民主党の農業政策」と題して、党農林水産団体局長の篠原孝衆議院議員が講演を行った後、意見交換した。篠原局長は「民主党農林漁業再生プラン」について、農林漁業視察と関係者との意見交換の積み重ね、農林漁業団体ヒアリング、活発な党内議論などの集大成であることをアピール。農山漁村の衰退、食料自給率低下、食の安全への不信感、環境問題等の解決に向けた抜本的政策転換だとし、「食料自給率の向上策」「直接支払いの導入」「環境保全型農業の推進」「加工原材料や外食にも原料産地表示の義務化」等の特徴を説明した。

 意見交換では保障額の見直し、果樹・野菜への取組み強化、環境悪化を招いている荒廃した山林の改善策の追加を求める声があった。

 分科会2では、「新しい自治設計──合併とその後」と題して、中央大学教授の佐々木信夫氏から講演を受けた。佐々木氏は、現在進行している市町村合併の意義を歴史的・構造的に明らかにしながら「合併は財政危機克服のためではなく、核心は分権化にある」と指摘。その上で、合併後の自治設計の重要性を強調し、政策能力の向上、地域経営主体の形成、自治制度の多様化などのポイントを提起した。

 質疑では、「政府の特例債は信用できるか」「合併自治体議員の在任特例をどう考えるか」「住民投票制度をどう評価するか」など、具体的な質問が出された。佐々木氏は、特例債は返済の見通しがなく信用できないこと、在任特例を使うなら住民負担を増やさない形にすること、住民投票は住民生活に直接関わる問題についての議会の決定をチェックする「二重審査型」が有効なこと、などを明快に指摘した。

 分科会3では、兵庫県立大学教授の中沢孝夫氏が「商店街活性化──常識のウソ」と題して講演した。中沢氏は、地方の中心商店街の多くがシャッターを下ろし停滞している状況について、一番のガンは商店そのものだと喝破。商店は実際には十分にストックがあって土地家屋は既に減価償却を終えており、商店主は不動産管理業と化してシャッターを下ろしても高家賃で店舗を貸しているため、高家賃が払えるサラ金やファーストフード、英会話教室などでどこも駅前風景は同じくなってしまったと指摘した。

 さらに中沢氏は、青森市と東京・練馬の商店街をモデルに、駐車場があるから郊外店が発展したのではなく商店街が魅力がないからお客が逃げたにすぎないこと、全ての商店街が復活するのは無理で部分的リニューアルで十分なこと、やる気のある数人がまず走り出すことが大切で行政や政治は後から支援すればいいことなど、商店街活性化の方途をユーモアを交えて説いた。会場からは税制と事業の継承、地元商店街の実情や問題点などについて質問が出た。
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