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2005/12/06
耐震強度偽装事件に関する申し入れ
2005年12月6日
内閣総理大臣 小泉純一郎 殿

耐震強度偽装事件に関する申し入れ

民主党耐震強度偽装問題対策本部
本部長
 前原 誠司
本部長代理
 松本 剛明

今回明らかとなった耐震強度偽装問題については、本来万全であるべきチェック機能は働かず、法律違反の欠陥建築物が建築・販売されたものであり、制度の根幹を揺るがす極めて深刻な事態となっている。当該マンションを購入した住民をはじめ、近隣住民、さらには建物を購入した全ての人が不安を抱く事態に至っている。このような人の生命・身体の安全に直結する問題であるにも関わらず、一部与党議員は事件が明らかとなる前に問題となった会社と国土交通省担当者との面会を行わせた事実が明らかとなっている。本来政治が果たすべきは、国民の生命と身体の安全を第一に考え、事実を解明し問題点を明らかにした上で対策を実行することである。
 国民の生命と身体の安全を確保し、制度と政治の信頼を回復するためにも、今回の事態について徹底究明を行い、関係者の厳格な処分・処罰と再発防止策を講ずるべきである。民主党は、このような考え方に基づき、以下の点について早急な対応を政府に強く求めるものである。なお、民主党としては、今後の制度のあり方に関しても早急に提言をまとめる所存である。





<居住者対策>


住民の安全を最優先させるため、当該建物居住住民ならびに倒壊のおそれがある建物の近隣住民の移転先の住宅を確保するとともに、住宅ローンと家賃の二重の負担を避けるため、一定期間、原則無料となるよう国が責任を持って家賃の補助を行うこと。その際には、移転先として公営・公団住宅のみならず、国家公務員住宅をはじめ国が所有する住居施設の活用も行うこと。


問題となっているマンションの資産価値がそもそも存在しないことに鑑み、固定資産税について速やかな減免措置を講ずること。また、住民の負担を軽減するために、都市計画税・不動産取得税等の減免措置も併せて講ずること。さらに、解体費用について財政措置を速やかに講ずるとともに、建て替え費用についても一定の財政措置を講ずること。


国が行った家賃補助、解体費用・建て替え費用等の住民支援策については、関係事業者等の責任分担に応じてその費用を負担させること。

<実態解明など>


政府は政治家の関与も含め、当該事件の徹底解明を行うとともに、速やかに臨時国会を開会し集中審議を行い、国会における事実解明に対して資料開示を含め全面的に協力すること。特に、国土交通省が持つ姉歯設計事務所の契約書・入金状況などの情報については、事実解明のために重要な資料であることから速やかに公表すること。


関係者の処分と刑事告発を速やかに行うこと。また、関係者の資産に関する監視を徹底し、資産の散逸を防止するよう措置すること。


事件が認識されてから国土交通大臣に情報が伝わるまで相当な時間がかかっていることから、通報から公表に至るまでの経過を調査・公表するとともに、危機管理体制の抜本的な見直しを行うこと。


耐震設計が偽装された建築物を解体する際には、施工状態を含めた調査を徹底的に行い、その結果を公表すること。また、特に危険性が高いと判断される建築物については、国または地方公共団体が早急に解体を実施する措置を講ずること。


問題となった建築物以外の建物についても、用途・規模ごとにサンプル調査を全国的に行うこと。その際には、図面の確認のみではなく、実際の建築物について非破壊検査による実態調査も併せて行い、その結果を公表すること。その際には、一戸建て住宅や学校・病院なども調査の対象とすること。また、耐震診断希望者への公的補助を行うこと。


建築確認段階における構造計算の審査実態について調査を行い、その結果を公表すること。

<再発防止策の検討>


中間検査の厳格化及び義務化、検査段階ごとに別主体が検査を実施する制度の導入、指定確認検査機関に対する監督強化、構造設計審査に関するマニュアル整備、通報制度の導入、建築士資格について専門認定制度の導入・更新制の導入、違反に対する罰則強化、建築主への保険加入義務づけなど、再発防止を徹底する措置の導入を政府としても検討すること。



以 上
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