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2004/10/19
【衆院予算委】三位一体、郵政、経済・財政、政治とカネ、BSE問題で4議員が質問


 衆議院予算委員会で19日午前、民主党の五十嵐文彦、岩國哲人、永田寿康、篠原孝衆議院議員が質問に立ち、小泉首相および関係大臣を質した。

 五十嵐議員は三位一体改革、郵政改革について質し、三位一体改革については具体的な補助金削減の対象事業や税源移譲の税目がほとんど示されていない現状では地方自治体の不安を増幅するだけだとの認識を示し、小泉首相に全体像・ビジョンを示すよう求めた。
 小泉首相は「目標は補助金、交付税を地方がより自主的に使えるような方法で改革していこうというもの。地方の役割、国の役割を見極めながら地方の裁量権を拡大していこうというのが改革の趣旨」などとしたが、具体的内容は示されなかった。三位一体改革で義務教育費国庫負担金が廃止されると、教育の機会平等が崩れる可能性がある点に五十嵐議員は言及。「教育全体への投資は極めて大事。額の確保が必要」としたが、中山文部大臣は「国、地方の役割を十分考え、検討している」と答弁するに留まった。
 郵政改革について五十嵐議員は「必ずしも悪いわけではない」としながらも、「サイズ縮小、健全な競争を重視すべき」と指摘。基本設計を質したが、具体的答弁はなかった。

 続いて質問に立った岩國哲人議員は経済情勢、財政政策問題を取り上げ、「日本の国力を弱めているのは、政府のまちがった経済政策、財政政策によるものだ」と断じ、ゼロ金利政策、長期債務残高が700兆円を超す借金漬けの財政政策、日歯連1億円裏献金事件に代表される「政治とカネ」の問題等を指摘。三つの金の問題を早急に改めるよう求めた。
 小泉首相は「今はデフレ。ですから低金利・ゼロ金利。そういうなかで日本経済は回復してきている」と述べ、ゼロ金利政策を改める考えがないことを明らかにした上で「ゼロ金利のなかでも経済の動きは回復傾向を見せている」と繰り返した。
 政治とカネの問題について小泉首相は「疑惑を持たれた政治家は疑惑に対して説明する必要がある」との考えを示したが、「党派をこえて胸襟を開いて、各党が協議していただきたい」との逃げの姿勢を示し、首相としてリーダーシップを発揮する意志は示さなかった。

 岩國議員に引き続き質問に立った永田寿康議員は、政治とカネの問題を中心に厳しく首相を追及した。永田議員は昨日の質疑で首相が、平成研の問題が「自民党の問題ではない」と発言したことを取り上げ、その真意を質した。首相は「平成研と自民党とは違う」といった答弁を繰り返すばかりで、武部幹事長に指示したという調査についても「いずれ報告が出てくる」とまるで他人事のような答弁ぶり。
 また永田議員は、小泉首相の後援会事務所の事務所費の内容や政策秘書の使用している車の名義人などについても、厳しく首相を問い質した。首相は「収支報告書に規定どおりに報告している」と繰り返し、「あたかも疑惑があるかのように質問するというのはいかがなものか」と気色ばんで反論を試みたが、永田議員は「疑惑があるかないかは、総理が決めることではない」と一喝し、3000万円とされる日歯連からの献金の実態が分からない山崎首相補佐官と、首相の政策秘書の証人喚問を求めて質問を締めくくった。

 午前中最後の質問に立った篠原孝議員は、BSE問題、とりわけ全頭検査を継続するかどうかについて、首相や各大臣と質疑。篠原議員は、「刑法の世界では、疑わしきは罰せずだが、食べ物の世界では、疑わしきは食べず、口の中に入れずだ」と前置きした上で、成長ホルモン牛肉問題でのEUの対応を例に挙げながら、国民の中で全頭検査を見直せという声があるのかどうかを質した。さらに篠原議員は「外食産業に日本国産の材料を使うという逆転の発想でやっていただきたい」と質したが、島村農相は「食品の安全・安心が大前提で、何々を使うというところまで指導するのは行き過ぎだ」とした。
 また、全頭検査に見直しの動きが出ていることについて、篠原議員は首相に「(全頭検査の制度は)間違っていたとお考えか」「状況が変わってきたからいいということか」などと質問したが、首相は「どこまでが安全かということは、専門家の意見を聞かないと分からない」などと答弁。篠原議員はさらに、「国民は、アメリカとの関係を配慮していると見ているのではないか」と質したが、首相は「科学的知見に基づいて、食の安全に充分配慮する」としつつ、「政治的判断が入る余地はない」などとして、国民の持つ不安への直接の答えが語られることはなかった。
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