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2004/11/17
首相の認識不足をつく 岡田代表が党首討論で
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今国会3回目となる、岡田克也代表と小泉首相との党首討論が17日、衆議院で行われ、岡田代表は拉致事件、イラク戦争、地方分権、政治とカネの問題を取り上げ、首相の認識不足を厳しく追及した。また、予算委員会、イラク特別委員会での議論を提案、特に野党三党が提出したイラク特措法廃止法案の本会議での採決を強く求めた。
北朝鮮による拉致問題 実務者協議の成果を問い、食料援助の凍結求める
岡田代表は実務者協議について、「国民一人ひとりにとって、全く納得しがたいものだった」として、首相に協議の成果について問い質した。首相は「再調査する必要がある。終わったとは考えていない」と答えた。岡田代表は、期限を切って交渉すべきとしたが、首相は「できるだけ早く」と答えるだけで、明確な期限を示さなかった。岡田代表は「そうした姿勢は向こうの思うつぼ。残りの食料援助12.5万トンは凍結」するよう求めた。これに対して首相は「打ち切れと言うのは、そうなればさらに迷路になる」とし、食料援助を続行する考えを示唆した。岡田代表は、国交正常化交渉を本格化しないよう「イエスかノーかで答えを」求めたが、首相は例によって答弁をすり替え、明言を避けた。最後に岡田代表は、衆議院に拉致問題特別委員会の設置を求め、「与党の賛同を得たい」とした。
地方分権 情けない状況、地方団体の案尊重を
地方分権をめぐる問題、特に補助金削減案について岡田代表は、政府・与党の現状を「情けない状況。地方分権は権限の分捕り合戦ではない。省庁が補助率を下げることに走り回っている状況をどう思うか」と質した。首相は「地方分権の趣旨に沿ったいい案をまとめてくれる。私も地方案を真摯に受け止めてまとめたい」と答弁。この答弁に対して岡田代表は、「他人事みたいな言い方ではなく、はっきりと」と明確な答弁を求めた。首相は「中身は言うべき時期ではない」と例によって明言を避けた。岡田代表は、政府・与党の迷走について「全体像がないから、混乱している。理念を基に、最初の3年間ではこうする、というのが改革。単に補助率を下げるだけでは意味はない」と決めつけた。
イラク戦争 先の答弁(自衛隊の活動している地域は非戦闘地域)はとんでもない認識
先の党首討論での「自衛隊の活動している地域は非戦闘地域」との答弁を首相が適切としている点を岡田代表は取り上げ、「とんでもない答弁、国民はみんなそう思っている。なぜいい答弁なのか」と問い詰めた。これに対して時間稼ぎに出た首相は、先の党首討論の議事録を延々と読み上げるという戦術をとり、さらに「問い返せばいい」と開き直った。岡田代表が「何の答弁にもなっていない」と追及すると、首相は「私は非戦闘地域と思っている。イラクの復興の状況をどう見ているのか。アメリカも撤退させるのか」と岡田代表に質問。岡田代表は「アメリカには戦争を始めた責任がある。治安回復の責任がある」と明快に答えた。その上で岡田代表は、「サマワは安全なのか。非戦闘地域の定義も知らずにどうして非戦闘地域と言えるのか。きわめて無責任な答弁。全くおかしい」と批判。イラク特別委員会での5、6時間をかけた議論を提起した。また、野党のイラク特措法廃止法案に関して、議論はしても委員会でも採決しないとの与党の動きに関して「採決しないのではなく、本会議で採決しようではないか。一人ひとりの議員の心に照らして投票すべきではないか」と呼びかけた。
政治とカネ 迂回献金の禁止を
政治とカネをめぐる問題で、自民党内の調査で違法行為はなかったとした点を岡田代表は取り上げ、「違法かどうか自民党が判断すべきことではない。脱法行為がなかったと断言できるのか」と迫った。首相は「脱法行為はない」と珍しく断言。これに対して岡田代表は、「(脱法行為が)あったら首相の責任。かつて迂回献金があったのは常識。鈴木宗男前衆議院議員も自身のホームページで述べている。総務局長までやった人が言っている」と畳み掛けた。その上で、「ないのなら何故、迂回献金の禁止に反対しているのか」と質した。首相は「委員会で議論すればいいことでしょう」と逃げの答弁。岡田代表は「かつてリクルート事件の時、自民党には政治資金規正法の改正を含めて議論しよう」との意見、真面目さがあったが、今はないとして、これでは国民からの政治に対する信頼は取り戻せないと、議論を締めくくった。
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