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2004/12/02
【参院決算委】羽田・神本・櫻井議員が首相や各大臣を厳しく追及


 参議院決算委員会で2日、民主党・新緑風会の羽田雄一郎、神本美恵子、櫻井充各参議院議員が質問に立ち、小泉首相はじめ関係大臣に内外の諸課題についての見解を質した。

 羽田議員は質疑の冒頭、「例年になく自然災害が多発する中、各地で大きな被害が出ている」と語り、新潟県の試算で3兆円の被害が出たとされる新潟県中越地震の復興支援に向け、補正予算で直ちに対応するよう強く求めた。谷垣財務大臣は「災害復旧額の把握につとめている」とし、補正予算は次期通常国会冒頭で対応すると答弁。羽田議員は現地の惨状を考慮し、直ちに対応するよう重ねて要請したが、小泉首相も同様の答弁だった。

 続いて、「参議院不要論がささやかれる中、参議院改革協議会の提言によって今臨時国会中に、しかも次年度の予算が出てくる前に15年度決算の議論をスタートさせることが出来たことは良識の府・参議院として嬉しい限りだ」との考えを示した上で、羽田議員は、会計検査院のあり方について単に税金のムダ遣いや役所の不正経理を報告するだけでなく、参議院に直結させ、不正等を見つける度に参議院で審議する形を整えるよう提案。「不正やムダなお金を返還させることで、枯渇する翌年度の予算を自動的に減らすことができる」と指摘した。また、ODAについては、単なる援助の継続ではなく、有効な使われ方がなされているかどうか、チェック機能を高めていく必要性を指摘した。

 羽田議員はまた、来年2月末から長野県で行われるスペシャルオリンピックス冬季世界大会について、「知的・発達障害をもちながらもそれを乗り越えて競技するアスリートの国際大会。われわれに感動を与える」として、国民への理解を広げるためにも政府の支援を求めた。また、エイズ・HIV感染拡大阻止に向けて、政府がリードして正しい知識を国民に広めていくよう指摘した。BSE問題については、まず米国産牛肉の輸入再開ありきの方向で突き進もうとしている政府の姿勢を問題視した上で、「日本人の安心・安全の確保」を最優先するよう求めた。羽田議員はさらに、年金制度、イラク自衛隊派遣延長問題、北朝鮮日本人拉致問題、三位一体改革等、広く諸課題を質した。

 続いて質問に立った神本美恵子議員は、この審議を「予算に如何に反映させるかが大変重要」だと指摘。会計検査院の2003年度決算検査報告で、指摘金額が過去20年間で最高の430億円に上っていることなどを挙げて、決算審議が「予算に反映されていないことの証ではないか」と小泉首相を質した。首相は、「是正に今後とも格段の努力をしていくべき」などとした。

 次に神本議員は、警察の捜査費などをめぐる不正経理問題を取り上げて村田国家公安委員長らの姿勢を追及し、警察庁での会議録のメモとされる資料を元に質したが、「そうした事実の存在は、私は承知をしていない」との答弁。神本議員は、うやむやに終わらせては、また同じことが繰り返されるおそれがあるとして、「これで幕引きにしてはならない」と厳しく指摘した。さらに「立派すぎる建前と汚れ切った現実を、ともに受け入れなければならない意識の二重構造化が起きて、精神的に自己矛盾に陥り非常に苦しい」という現場の警察官の声を紹介し、「本当に正義感に燃えて、今でも日夜第一線で苦労している警察官が、住民のため、子どもたちのために、平和で安全な国をつくる一翼を担っているという誇りを持って働けるようにするため」に徹底した調査を要求。公安委員会の実質的な監察機能の強化など具体的提案を行った。

 小泉首相は「しっかりとした対応が必要だ」などと具体性のない答弁に終始。一方では、社会保険庁の金銭登録機の随意契約問題などへの対応を質された尾辻厚労相が、「もう全く弁解の余地はないと私は考えている。出すべき膿は全部出すと申し上げている」と、積極的な姿勢を明確に示し、消極的で抽象的な答弁に終始した小泉首相や村田委員長との姿勢の相違があらわになった。また神本議員は、教育基本法についても国民の幅広い意見を聞くよう小泉首相に求め、質問を締めくくった。

 神本議員に引き続き質問に立った桜井充参議院議員は、小泉首相の政治資金、政策秘書への車の提供問題などを「刺し違える覚悟」で追及。「法を守らないことを何とも思わない首相には早く辞めてもらいたい」と退陣を要求した。

 桜井議員はまず、自民党からの首相への1億円以上に上る資金提供を取り上げ、「どれくらいで、どのように使用したのか」と質問。首相は「党の総裁として使うのは、答える必要はない」と答弁を拒否。重ねて桜井議員が「説明してもらわなければ、雑所得となる。しかも半年で使いきらないと、脱税」と追及。首相は「野党も同じことをやっていると思う。議員同士としてその質問は失礼ではないか」と質問そのものを拒否する態度に出た。桜井議員は財務省に問い合わせ、「本来は雑所得だが、信頼関係で政治活動として使われている前提で計上しなくていい」との回答を得ていることを説明した。

 続いて桜井議員は首相の政策秘書が、使用している車に関して「民間からの提供」として、寄付として政治資金収支報告書の訂正」をするよう求めた。首相は、「これは非常勤役員として使用している車。私の政治活動ではない」と突っぱねた。桜井議員が法を読み上げ「政治活動、政治団体として使用したときは、寄付行為」として「政治資金パーティーにこの車で行っている。これは政治活動ではないのか。政策秘書は政治活動していないのか」と追及。これに対しても首相は「個人の活動。許される範囲ではないか。便宜供与ではない」と開き直った。桜井議員は「法を守らないことは大したことではないのか。総理として資質があるととても思えない。早く辞めてもらいたい」と退陣を要求した。

 桜井議員は最後に国立病院の改革を取り上げ、「改革になっていない。人件費だけで25億円もかかっている。この組織そのものをやめるべき。もしくは再編し完全民営化」を要求した。尾辻厚労相は調査を約束した。また、桜井議員は大手4社の医薬品入札の談合疑惑も取り上げ、調査を要求。尾辻厚労相は「具体的に示していただければ調査する」と答えた。
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