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2005/10/28
【衆院厚労委】仙谷ネクスト厚労相、厚生行政のあり方を質す


28日午後、衆議院厚生労働委員会において、仙谷由人『次の内閣』厚生労働大臣が質問に立ち、台湾・韓国ハンセン病訴訟および政府提案の障害者自立支援法について質問を行い、厚生行政のあり方を質した。

 冒頭、仙谷議員は、戦前に台湾と韓国のハンセン病療養施設に入所させられた人たちからの訴訟に対する判決が25日に東京地方裁判所で出されたことを取り上げた。仙谷議員は、ハンセン病補償法にともなう大臣告示224号が、旧植民地にハンセン病施設があることを知らずに出されたものであったとしても、その被害者を排除するものではないはずだと説いた。そして、法律の目的的解釈をすべきであって、「謝罪の意味をこめて作られた法律の中身を考えると、拡張して適用すべきではないか」と述べ、尾辻厚労相に政治決断を迫った。厚労相は、決断をするために検討中であるが、関係省庁との協議も必要であると答弁した。

 仙谷議員は障害者自立支援法案に話題を移し、民主党は支援費制度の存続、その義務経費化、そして基盤整備の促進をめざす対案を提出していると述べつつ、政府案について「鳴り物入りで作られた支援費制度ですすめてきたノーマライゼーションなのに、なぜこのような争いになる法案を出すのか不思議だ」と批判した。その上で、障害者支援予算にも数値目標を掲げるべきであり、2010年には2倍の1兆5000億円にすると言えないのかと迫った。厚労相は、今年度予算が8.5パーセントの伸びを示している実績を見て欲しいと答弁した。

 仙谷議員は、よく自助・共助・公助と言われるが、障害者については自助・共助が当てはまる部分があるかどうか疑問だとして、公助が中心となるべきことを強調した。その上で、「従来のような中央官庁が税を集めてばら撒くやり方では自立支援は生き生きしたものにならない」として、小規模作業所などに寄付を受け入れやすくする制度改正に厚労省も本気で取り組むべきだと説いた。厚労相は、研究を進めるとともに、そのための統計も集めることを約束した。

 さらに仙谷議員は、障害者の法定雇用率が低迷している現状を取り上げ、「30年間一日のような状態では良くない」と指摘し、厚労相は検討して3年後の法の見直しに生かすとの答弁を行った。

 最後に仙谷議員は、前国会で付けられた付帯決議の趣旨を尊重して政省令の制定に反映させるとの厚労相の約束を取り付け、質問を終了した。
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