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2005/09/28
鳩山幹事長、民主党こそが自公政権の独善を防ぐ 代表質問で


衆議院は28日午後の本会議で、小泉首相の所信表明演説に対する代表質問が行われ、鳩山由紀夫幹事長が前原代表に続き質問に立ち、幹事長就任後、初めての代表質問で首相と対峙した。

 鳩山幹事長はまず、後藤田正晴元副総理の政治姿勢に言及。「先生は常に権力の独善に対して戒めの気持ちを持っていた。今、自民党が権力の独善に陥りがちなこの時期、後藤田先生のような方が自民党に全くおられないことは残念の極み」と指摘。そうした状況にあっては民主党こそが自公政権の独善を防ぐ役目を果たしていくと宣言した。

 続いて、ヤミ献金事件の真相解明を図るつもりかを首相に質した。同時に、迂回献金の禁止規定を盛り込んだ民主党案に見向きもせず、迂回献金の禁止規定がない抜け道だらけの政治資金規正法改正案でケリをつけようとしている自民党について「『改革を止めるな。』ではなく、『迂回献金を止めるな!ヤミ献金の道を止めるな!』ではないか」と批判し、迂回献金を禁止する法律改正に取り組む意志はあるか首相に答弁を求めた。

 小泉首相は「政治とカネの問題は政治家が常に襟を正していかなければならない問題。政治資金規正法に乗っ取って適正に処理されなければならない」などと語ったが、関係者の証人喚問の実現や実効性のある政治資金規正法改正案成立へ向けての動きについては「各党、各会派において十分に議論を」とするだけで、何ら具体的方針を示さなかった。

 次に、政府の三位一体改革において、8500億円の義務教育費国庫負担金の取り扱いが暫定措置とされている問題を取り上げ、「教育制度の根幹に関わる義務教育費国庫負担金を存続するか否か、小泉首相に明確な回答を求めた。

 首相は「中央教育審議会の審議結果をふまえつつ、この方針のもと、本年中に結論をだしていく」と答弁するにとどまった。

 さらに、団塊ジュニアの世代が30歳代前半の今を逃せば、少子化への対応は手遅れになりかねないと指摘。首相に前向きな取り組みを要請した。

 政府の「障害者自立支援法案」をめぐっては「障害者が生きていくために必要な支援サービスの費用について、障害が重くなるほど本人負担が重くなる内容になっている」と語り、負担の軽減対策も、家族との合算を前提としているために、障害を持つ人は家族に依存しなくては生きられない構造となっていることを問題視した。その上で鳩山幹事長は「理念がまるで世界の流れと逆行している」と厳しく批判し、そうした障害者自立支援法案を、何の修正もなく国会に再提出するのかを首相に質した。

 小泉首相は「障害がある方が自立して生活していく観点から十分な配慮をしている」などとする見解を示し、先の衆議院における修正内容を盛りこむだけにすぎないという点も明らかにした。

 また、深刻な被害が報告されているアスベスト問題について、政府・与党がアスベスト法案を提出するのを来年の通常国会としている点を「小泉内閣の危機意識のなさにあ然とする」として、早急な対応を求めた。

 政府がテロ特措法の延長を求めている問題については、「国民が納得するように説明すべき」として明確な答弁を要請。また、この給油活動がイラク作戦に参加する米軍艦船に転用されているとの指摘があることも取り上げ、首相に事実を問いただした。

 首相は「テロ防止の観点からテロ特措法の延長は必要との認識を示すとともに、米軍艦船への転用はないとした。

 イラク自衛隊派遣の派遣延長問題についても鳩山幹事長は質問。現在のイラクにはイラク特措法にいう「非戦闘地域」はなく、自衛隊を撤退させるべきだとする民主党の従来からの主張を改めて提示するとともに、イラクから自衛隊を速やかに撤退させるべきだとして、「よもやこの特別国会の閉会後にこそこそと(派遣延長を)決めることはないでしょうね」と釘を刺し、今国会に議論するよう強く求めた。

 事実上暗礁に乗り上げた、日本の国連安保理常任理事国入りの問題も取り上げ「戦略性の欠如は眼を覆うばかりだった」として稚拙な政府の安保理入り戦略を批判。アジア近隣諸国との関係改善に向け、全力で取り組むよう注文をつけた。

 最後には、憲法改正の問題を取り上げ、与党が衆議院で三分の二を占めた今、強引な手法で憲法改正を進めて行くことへの懸念の声が起きているとした上で、「憲法改正には賛成だが、大事なことはどんな理念に基づいて憲法を見直すかだ」として、統治者の立場を利用した強権的な改正の議論や手法を用いることへの反対を表明した。

 鳩山幹事長はさらに「憲法の定めによれば、衆議院で三分の二以上の勢力を得れば、参議院で否決された法案を成立させることができるほか、本会議や委員会を秘密会とすることや、衆議院議員を除名することさえできる。与党が道を誤れば、民主主義を死なせることさえ可能なのだ」と語るとともに、巨大自民党の暴走を許さないよう、民主党がしっかりとチェックし、国民の側に立った民主党政権を樹立すると決意を表明した。
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