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2005/09/30
【衆院予算委】前原代表、行財政改革へ特別会計見直し等を提案


「闘う民主党」を宣言した前原誠司代表は「自ら先頭に立って闘う姿を示したい」との意向から衆院本会議に続いて30日の衆院予算委員会でも質問に立ち、小泉首相と直接対決し、行財政改革を中心に議論した。

 前原代表は冒頭、「国会議員は国家経営者たれ」という恩師・松下幸之助氏の言葉を引き、会社経営者がムダ遣いを省き、将来ビジョンをもって会社経営を行っているのに対し、翻って国の実態を見ると、借金だらけでビジョンも戦力もない状況にあるとの見方を示した。その上で、「経営感覚なき政治はなくしていかなければならない」と述べ、「今後の日本の改革をいい意味で競いあいたい。それが健全な2大政党制の発達となり、ひいては国民のみなさんの利益につながる」と語り、建設的な議論を首相に求めた。

 続いて、1000兆円の借金をかかえ、単年度予算でも一般会計の歳出総額が82・2兆円であるのに対して一般会計税収が44兆円で、歳費欠損は38・2兆円となっている状況について、「異常な国だ」と前原代表は述べ、行財政改革の必要性を改めて強調した。

 前原代表はまた、「政府の総資産700兆円、GDPの1・4倍、これはどう考えても大きな政府だ」と指摘。自民党が小さな政府を目指す旗頭であるような誤解が世間に蔓延している状況に対し、「戦後60年かけて大きな政府、水ぶくれのムダが多い政府を作ってきたのは自民党自身だ」と本質を突くとともに、日本を借金大国に陥らせたことへの反省もなく、マニフェストに「小さな政府」を列記する自民党の不誠実な姿勢を問題視した。

 特別会計が一般会計の約6倍にも上っているにもかかわらず、一般会計だけが国会審議の対象であり、特別会計は野放しである状況を前原代表は深刻に受け止めるとともに、まず公務員待遇を民間企業レベルに見直していくなど、公務員制度改革の必要性を提案した。

 同時に、前原代表は、特別会計が税のムダ遣いの温床となっている例を列挙した上で、特別会計の見直しこそが歳出削減、行財政改革につながることを強調。民主党が先の衆院選のマニフェストで「ムダ遣いの温床・特別会計をゼロベースで見直し、財政健全化に活かします」と宣言した31の特別会計を6に整理する特別会計改革について、政府としても真剣に検討するよう首相に強く求めた。

 この要請に首相は、「31特別会計を6特別会計に仮に減らした場合に、5.9兆円の節約ができるかどうか、こういう点について政府としても真剣に検討してみたい」と述べ、前向きに取り組む姿勢を見せた。そうした答弁を受けて前原代表は、特別会計を議論するための特別委員会が必要だと問題提起したが、首相は、「その議論をするのが、まさに予算委員会だ」とするにとどまった。

 そのほか、前原代表は、予算を計上しながらその10分の1も使いきれていない役所の架空予算ともいえる問題を取り上げ、「使い切れというのではなく、精査が必要」とする認識を示し、徹底的に正すよう谷垣財務相に要請。財務相は「予算の積算根拠と執行実績が違っているものは厳重にメスをいれていく」と応じた。

 民主党が従来から指摘してきた道路特定財源の見直しについて、議論が必要との考えをようやく示しはじめた首相の姿勢にも言及し、前原代表は一般財源化して教育、福祉、環境対策にあてていくよう問題提起した。

 締めくくりには、自民党マニフェストに「サラリーマン増税は行うとの政府税調の考え方はとらない」と明示しながら、総選挙後その舌の根も乾かぬうちに定率減税廃止を打ち出した政府・与党に対し、「だまし討ち、まさに効率違反だ」と批判し、そうした政府・与党の暴走に対してはしっかりとチェックしていくことを宣言。建設的な闘う野党として、今後の国会論戦を通じて問題を追及していく姿勢を強く示した。
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