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2006/06/22
【衆院イラク特】末松議員、イラク陸自撤退後の空自の体制を確認


イラクで活動する陸上自衛隊の撤退を政府が決定したことを受けて衆院イラク特別委員会が22日開かれ、民主党・無所属クラブの末松義規議員が質問に立ち、陸上自衛隊撤退後の航空自衛隊や大使館の体制、撤退に際しての陸上自衛隊員の安全確保等に関して、安倍官房長官、額賀防衛庁長官らに質した。

 冒頭では北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を進めているとされる問題に関して、国民の不安を解消するためにも政府の対応を確認する責任があるとの考えを示した末松議員は、この問題をめぐる情報収集・分析の実態について質問。安倍官房長官は「情報の収集・分析を行っている。米国とも緊密に情報の交換、今後の対策における連携について情報交換を密に行っている」として、ミサイル発射に至れば日朝平壌宣言に反することになるとも言及。その際は、北朝鮮に対して厳しい対応をせざるを得ないとの考えを示すとともに、外交ルートを通じても北朝鮮に働きかけを行っているとした。詳細については「答弁を控える」との姿勢に終始した安倍官房長官に対し、「国民の不安解消に向けての答弁としては不十分」との姿勢を末松議員は示すとともに、十分な対応を行うよう注文をつけた。

 イラクへの自衛隊派遣に関しては、「派遣すべきでない」との民主党としての強い主張をあらためて表明したうえで、「復興事業において日本の援助が必要」と再三訴えてきた政府の主張に基づけば、陸上自衛隊を再派遣する可能性もあるのかをすと、安倍官房長官は「現時点においてイラク特措法に乗っ取って派遣することは考えていない」と答弁した。

 また、米国からの要請を確認する意味で末松議員は、陸上自衛隊撤退後の航空自衛隊の体制や大使館員の配置人員等についても質問。額賀防衛庁長官は国連等からの要請もあるので空輸活動を行っていくとしたうえで、「多国籍軍の司令部に数名の航空自衛隊を派遣する」と語った。一方、大使館員の増員に関しては、派遣すべきかどうか決定していないとの方針が内閣官房副大臣から示された。

 末松議員はさらに、撤退に際しては自衛隊員の安全確保に向け、最大限の警戒を行うよう政府に注文をつけるとともに、航空自衛隊が今後、バグダッドやエルビルとクウェート間で実施する輸送活動は、人道復興支援活動なのか、物資の輸送には武器弾薬を運ぶこともあるかを質問。額賀長官は「当初から言っているように、武器弾薬は対処になっていない」と答弁したが、「国連からの要請」のみを強調し「米国からの要請」に明言しない政府の対応に末松議員は「やや妙な感じがする」との認識を示した。

 最後には、7月末までに撤退完了と報道されている点について、政府の撤退決定から撤退完了までに要する期間が従来の認識より短すぎるのではないかと指摘し、「自衛隊の輸送能力があがったのか」と質問した。それに対して額賀長官は「去就についての命令をしたわけだが、何日かかると明確には申し上げられない。1カ月から1カ月半ぐらいの間に、仕事ができるのではないかと思っている」とした。これを受けて末松議員は自衛隊員の安全確保にむけて万全を記すよう重ねて指摘し、質問を終えた。
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