2006/05/03
憲法記念日にあたって(談話)
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民主党憲法調査会長
枝野 幸男
日本国憲法は今年、制定から60年を迎えます。
無謀な戦争の果てに一面の焼け野原となったわが国において、平和で民主的な国家・社会の建設という方向を指し示したこの新憲法は、当時の国民にどれほど希望と勇気をもたらしたか、想像に難くありません。この憲法は実際、半世紀以上にわたって日本国民の間に深く定着し、戦後日本の平和と安全、繁栄と民主主義の土台となってきました。この現行憲法の根本規範である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの原理は、これからの日本だけでなく、世界に広げていくべき普遍的原理として今後も大切にしていくべきだと思います。
しかしその一方で、わが国ではこれまで、時の政府が自らの都合に合わせて解釈変更を重ね、憲法による統治が徐々に形骸化・空洞化させられてきたのも事実です。与党の一部からは、こうした解釈変更では飽き足らずに、都合の悪い憲法の条文そのものを書き換えて、政府にフリーハンドを与えるがごとき反立憲主義的な改憲案も示されています。他方、どれほど空洞化しようとも、その現実を見ることなく、現行憲法の条文、一句一字を守ることが平和を守ることだとする、相変わらずの護憲論も見られます。
私たちは、これらいずれの議論とも一線を画しながら、真に立憲主義を機能させ国民主権を深化させるという観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めるという姿勢で、民主党「憲法提言」を昨年秋にまとめました。現在、この提言をもとに、全国各地での対話集会をスタートさせています。主権者である国民の皆さんとの自由闊達な憲法論議を経て、私たちの憲法が日本や世界の人々の平和や幸福の礎石として輝きを取り戻せるよう、私たちも積極的な役割を果たしたいと思います。
以 上
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