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2006/04/03
【衆院行革特】ムダづかい、金融の歪みなど追及 前田・近藤議員


 衆議院行政改革に関する特別委員会が3日午後開かれ、総括質疑が行われ、前田雄吉議員は大使館施設や国際援助のムダや問題点を厳しく指摘した。

 前田議員は冒頭、行革の意義は税のムダづかいをなくすことだという見地から、国民が見てあきれる税の無駄遣いを2点取り上げると述べて、質問を開始した。

 まず前田議員は、北京の日本大使館の地下に温水プールがあることを指摘し、定率減税が廃止され、国民年金保険料も引き上げられる中で、国民の感覚から納得できないと追及した。これに対して麻生外務大臣は、1990年の湾岸戦争時にクウェート大使館に逃げ込んだ在留邦人の生活が大使館のプールの水に助けられた例を引き、非常事態のためでもあると答弁した。前田議員は、非常事態用であるならば温水プールである必要はないと迫った。これに対して小泉首相は、日本国民を代表して活動する外交官には健康への配慮や体面も必要であると答弁しつつも、具体的にどのような施設が妥当であるかは明言を避けた。

 前田議員は、独立行政法人であるNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の研修センターがあまり利用されていないにもかかわらず豪華であることを指摘した。これに対して二階経済産業大臣も首相も、現場を見たわけではないとしつつ、明確な答弁を避けた。

 前田議員は、国際協力銀行はもっと早く解体されるべきであったとして、同銀行は発展途上国向けの融資を目的としていたにもかかわらず、米軍のグアム移転の住宅建設費や先進国の原発施設への融資を予定しており、行革の趣旨に反すると質した。これに対して谷垣財務大臣は、原発への融資はないとしつつ、詳細な制度設計はこれからであるとのみ答弁した。前田議員は、同銀行の融資で行われているマレーシアのクアラルンプールへの導水事業について、まず水の不経済な流出を防ぐべきであり、また現地住民の同意書等を公開して説明責任を果すべきことを強調し、さらに無駄な援助をなくすためにも援助庁を設けるべきだと提言した。

 前田議員に続いて、民主党・無所属クラブの質問の最後に近藤洋介議員が立った。近藤議員は、三井住友銀行の独占禁止法違反事件を取り上げ、当時の西川頭取、水島専務がそれぞれ日本郵政株式会社の社長、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長に就任しているのは問題だと指摘した。

 近藤議員は、中小零細企業への銀行の融資が減り続けていることをまず指摘し、さらに、中小零細企業がこの5年間で35万社減っていることへの所感を小泉首相に質した。首相は「民間金融がどういう業務をしているか知らない」と質問の意味を理解しない答弁に終始した。

 三井住友銀行の独占禁止法違反事件(昨年12月12日公正取引委員会の排除勧告に従うと銀行は認めている事件で、融資先の中小企業に対する優越的地位の濫用による金利スワップ商品の中小企業への「押し付け販売」)を近藤議員は取り上げ、なぜ金融庁による処分が遅れているのかを質した。与謝野金融担当大臣は「3回目の報告を精査している。取引件数は万を超える可能性もあり、これを全部チェックすることが誠意ある対応と思う」と答弁した。

 次に、近藤議員は、西川日本郵政株式会社社長、水島年金・健康保険福祉施設整理機構理事長に、どう責任を感じているかを質した。両氏とも「遺憾」と答えるだけで、当時の責任者として独占禁止法違反事件を起こしたことへの反省、責任の弁は見られなかった。

 また、近藤議員は、任命権者としての責任を首相に問い質した。首相は「銀行経営の専門家。公社を会社に仕立てあげることを期待している」と全く任命責任を認めなかった。このため、近藤議員は「西川氏は利益優先の経営者。郵貯も限度額の廃止、融資も行うと述べている。肥大化する官業との批判もある。金融をゆがめることになる」と批判した。
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