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2005/08/03
岡田代表、広島で核廃絶めざす国際シンポで被爆国日本の役割訴え


岡田克也代表は3日、広島市を訪れ、広島国際会議場で行われた朝日新聞社主催の国際平和シンポジウム「核なき世界をめざして――北東アジアにおける日本の役割」にパネリストとして参加した。

 パネルディスカッションでは「核不拡散条約(NPT)再検討会議の結果を受けての国際的な核廃絶へ向けた取り組み」「国際社会及び北東アジアにおける日本の課題」「被爆国日本の役割」等を議論。岡田代表のほか、広島市立大学広島平和研究所所長の浅井基文氏、外務省軍縮不拡散・科学部長の天野之弥氏、NPO法人ピースデポ代表の梅林宏道氏、自民党の加藤紘一衆議院議員、元韓国駐日大使の崖相龍氏がパネリストをつとめた。

 自己紹介も兼ねた冒頭発言で岡田代表は、2000年に党政調会長代理として「核の恐怖のない世界を目指して」とする民主党核政策を取りまとめたことを報告。合意文書も残せないまま閉幕した2005年のNPT再検討会議、北朝鮮の核保有宣言、イランの核開発疑惑、核の闇市場など、核をめぐる情勢が多くの問題をかかえている状況について岡田代表は、「大事な時期を迎えつつある」と分析。取り組みの立て直しが重要であり、被爆国・日本のリーダーシップが求められているとの見方を示した。

 ディスカッションの中で岡田代表は、核の平和利用の是非を最大の焦点として開かれている6カ国協議において、譲らぬ姿勢を示している北朝鮮について「彼らにとって生き残りのための極めて重要なカード」と述べた上で、具体的なカードを切らせないための交渉の重要性を指摘した。同時に、北朝鮮の拉致問題・核問題に対する政府方針が定まらない状況について「総理と自民党議員が立場を異にするのは問題」と主張。解決への糸口を探る上でも、政府としての統一見解を強く示すのが必要であると強調した。

 また、北東アジアの非核地帯構想にも岡田代表は言及。「日本と南北朝鮮の3カ国で何らかの合意ができないかと考えている」として、核兵器を保持しない・開発しない・使わないという点での合意を早急に現実化すべきとした。同時に岡田代表は、北東アジアの非核地帯構想の現実化への条件として、3カ国(日本・韓国・北朝鮮)に対しては核の先制使用をしないとの約束を米国から取り付けることが重要だと語った。さらには、日米同盟に基づき「日本を守る」という名目のもとに、米国が核を先制使用する際のルールが何ら確立していない点も岡田代表は問題視し、「日本をだしにして米国が勝手に核を使う危険性がある」と述べ、ルール化の必要性を指摘した。

 更には「小泉総理の意志が見えない」と述べ、単独行動主義の姿勢が顕著な米国に対して同盟国としての提言や核実験を行い核の平和利用拡大を主張してやまないインドに対する発言を何らしようとしない首相の政治姿勢を批判した。

 「被爆体験を国を挙げての取り組みになし得ていないのは問題」との指摘を受けて岡田代表は、その理由として先の戦争総括が不十分であることに起因すると指摘。「被爆するに至ったのは日本側にもそれなりの理由があった」などとする批判に口ごもらないで正当な反論を行うためにも、戦後一貫して目をつぶってきた日本国としての戦争総括をきちんと行うべきだと強調した。

 同時に、「もうそろそろ原水禁、原水協、核禁会議を何とかしなければいけないのではないか」と岡田代表は提議。政党、労働組合等をバックにそれぞれが運動を展開している構造が、市民から核廃絶運動を遠ざける要因となっていると分析。大同団結して市民運動として再構成していくことが核の問題に取り組む上で大きな意味があるとの考えを示した。

 なお、コーディネーターに郵政民営化法案採決に伴い解散となった際の民主党の対応を問われたのに対しては「われわれはどちらでもいい」と語るとともに、法案否決は本当の改革でなかったことの証明だと指摘。同時に課題が山積する日本の現状を直視したとき、郵政民営化法案以外に優先課題は多々あるとの認識を示し、同席した自民党の加藤議員に「もっと大事なことがあると伝えてほしい」と語った。
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