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2005/08/04
日本の近現代史調査会、高橋財政と井上財政の異同について学ぶ
4日午後、国会内において、民主党「日本の近現代史調査会」第7回会合が開かれ、「政党政治における財政金融指導者」のテーマの下に、東大名誉教授の三谷太一郎氏より高橋是清と井上準之助の財政思想・政策の共通点と相違点などについての講演を受けた。

 冒頭、細川律夫事務局長の司会の下、藤井裕久調査会長(代表代行)が挨拶に立ち、国会情勢は緊迫しているが、戊辰戦争の中で福沢諭吉が学問を続けたように勉強してもらいたいと語った。

 三谷教授は、政党政治における財政・金融政策の二つの原型を作ったのが高橋是清と井上準之助であるとした上で、両者の共通点について(1)ニューヨークの有力投資銀行と強い関係を持っていた(2)原政友会内閣を支えた財政家である(3)対欧関係中心の外交政策を対米協調路線に転換した(4)テロに倒れた、と指摘した。また、両者の相違点について(1)高橋はドイツ・ユダヤ系の投資銀行であるクーン・レーブ商会と、井上はアングロサクソン系の投資銀行であるJ.P.モルガン商会と深い関係を持っていた(2)高橋は一国資本主義的な思想を持って積極財政政策を取り、井上は国際資本主義的な思想を持って緊縮財政政策を取った、と指摘した。

 そして教授は、高橋は日露戦争の戦費に充てるための外債の引き受けで力を発揮したこと、井上は第一次大戦後に登場してきたことなどから説き起こし、両者の活動と政策思想形成を概説した。

 講演終了後の質疑において教授より、全予算の50パーセントという軍事予算の重圧を和らげるために原内閣はワシントン軍縮交渉を歓迎して積極的に取り組んだこと、第一次大戦後のジェノバ会議で金本位制が国際合意になっていたこと、1930年から31年にかけてのように動かないように見えた歴史が急速に動くことがあること、日本の場合に戦争は経済的対立によって起こるというよりも国外に長期間駐留する部隊が原因となって起こると言えること、などが示された。
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