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2005/08/05
【参院郵政特】リスクや資産の問題点を追及 大塚・峰崎両議員




参議院郵政特別委員会で5日午前、民主党・新緑風会の大塚耕平、峰崎直樹議員が質問に立ち、郵便貯金・簡易保険資産のリスク管理や民営会社への承継資産の評価方法、追加責任準備金などについて、法案の不備を鋭く追及した。

 まず大塚議員は、4日の大久保勉議員の議論を引き継ぎ、郵貯・簡保資産は市場リスクに対応するためにどのようなALM(資産負債管理)を行っているのかと質問した。これに対して郵政公社の担当理事は、特に簡保については資産・負債のミスマッチを考えた運用が必要であるとの一般論を述べつつ、リスクついては金利感応度で把握していると答弁した。大塚議員は、かつて竹中民営化担当相が一万本の方程式を使ってシミュレーションをしていると答弁していることを踏まえ、340兆円の資産を持ち、複雑な予測をしている金融機関が、デルタ値(数量化された損失リスク)すらも把握していないのは信じられないと郵政資産の管理レベルの低さを指摘した。

 さらに、「民営化システム研究会報告書」において不安要因として指摘されている点への対応状況に対する質問に対しては、公社の担当理事より例えば税務面についてはまだ手がついていないとの答弁があった。

 大塚議員はこれらの答弁を元に、多くの未解決の問題点を抱えながらも何故次の通常国会まで待たずに拙速に民営化法案を提出したのかを追及した。これに対して、担当相はできると思っていたとの答弁に終始し、生田郵政公社総裁はシステム全体について暫定対応によるに至った経緯を述べつつ、要件確定時期のずれについてはテストランの期間短縮で対応するとの苦しい答弁をした。

 大塚議員は、民営会社への資産承継の際の評価について、評価委員会の役割を質しつつ、担当相より民間会社と同じ会計基準で行うとの答弁を得た。また、民営銀行への移行にともなって通常貯金については預金保険料負担が発生することにより権利義務関係に異同が生じることを指摘した。

 最後に大塚議員は、これまでの質疑を通じて、「これだけの問題点が明らかになったのに、出直しを決められないような参議院では無用論が出てしまう」と参議院議員としての決意を表明した。

 続いて質問に立った峰崎議員は、4日に行われた水岡俊一議員の質疑を踏まえ、郵政民営化法案をめぐり「労使関係上ゆゆしき問題が残っている」と指摘。郵政株式会社の経営委員会が成立するまでの間、労働組合との交渉相手が政府なのか郵政公社なのか不明確である点を問題視し、交渉当事者を明確にするよう竹中担当相に求めた。竹中担当相は「交渉の当事者である準備企画会社を前倒しして早くつくり、空白(期間)が生じないようにする」などと説明し、キックオフは政府が、その後は郵政公社が担うとした。しかし、そうした点は法律上、何の担保もされていないことを峰崎議員は明らかにし、「この法案は欠陥がある」と批判し、極めて問題だとした。

 峰崎議員はまた、将来の保険金支払いに備える「追加責任準備金」の問題に言及。無税で積み上げてきた簡保の8兆4000億円にのぼる追加責任準備金は、民営化後、新会社に移行する際には一度国庫に編入すべきとの考えを改めて表明。さらに、10年の移行期間を経て完全に民営化会社となるとする政府の考えに準じた場合も、追加責任準備金は毎年取り崩されても10年後にまだ半分は残っている点を峰崎議員は指摘。その状況は10年後にはイコールフッティングとなるとする竹中担当相の見方と矛盾することを問題提起した。峰崎議員は、「その時点で、責任準備金のうち税金で準備していた分は国庫に返すという修正案を作成しない限り、完全なイコールフッティングはなしえない」とする考えを強調した。
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