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2005/08/08
【参院本会議】伊藤議員の反対討論後、郵政民営化法案、大差で否決




8日開かれた参議院本会議で、議題となった郵政民営化関連六法案に対し、民主党・新緑風会を代表して伊藤基隆参院議員が反対討論を行った。討論後の採決では、自民党から造反が続出。白票(賛成)108、青票(反対)は125となり、大差で法案は否決された。

 伊藤議員は、反対討論の冒頭、小泉首相は自らの「改革の本丸」と位置づける法案の審議に際し、「強引極まりない政治手法」をとったと指摘。「良識の府」である参議院を、「筋違いの解散権行使をもって威嚇し」、干渉しようとする姿勢に対して、「二院制という我が国の議会制度を根本から否定するもの」と厳しく批判した。

 更に伊藤議員は、政府の説明不足に言及。2年前に発足して健全経営を維持している日本郵政公社をいま民営化すべき理由、過疎地や地方の郵便局が閉鎖に追い込まれる可能性、全国の地方自治体や地方議会の声に対して、政府の答弁では「心配を拭い去ることはできなかった」との見解を示した。

 伊藤議員の指摘は法案の抱える具体的な問題点にも及び、「貯金や保険のユニバーサル・サービスは何ら保証されていないこと」、「郵便局ネットワークが崩壊してしまうこと」、「民営化しても340兆円に及ぶ『郵貯・簡保』資金の流れは変わらないこと」が、審議を通じて明らかになったと述べた。

 小泉首相がこだわった郵政民営化について伊藤議員は、「安全・確実で国民の日々の暮らしに安心を与えている」郵便貯金と簡易保険を廃止し、「340兆円に及ぶ国民の個人資産を、やみくもに金融市場に投入」するものとの認識を示した。その上で、「具体的な成功の道筋は何ら示されていない」、「全国に張り巡らされた貴重な郵便局ネットワークが崩壊する危険性をはらむ」などと、法案の問題点を改めて表明した。

 伊藤議員は更に、法案の行方が迷走した本当の理由として、景気対策や財政再建が行き詰まる中、小泉政権は、健全な「郵貯・簡保の資金」の利用方法だけを考え、郵政事業が果たしている公的な役割を忘れた点であるとの見解を表明。「企業体が順調に運営されているのであれば、改革の実行はその経営者の責任」だとして、「拙速な郵政民営化」ではなく、日本郵政公社によって改革を確実に成功させるようにと訴えて討論を締めくくった。

 郵政民営化関連六法案は一括して採決が行われ、自民党から造反が続出。賛成108票、反対125票で、法案は否決された。
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