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2006/04/11
【衆院本会議】長安議員、安全な住宅供給求め住生活基本法案質問


 衆議院本会議で11日、民主党・無所属クラブの長安豊議員が質問に立ち、政府提出の住生活基本法案に関して、北側国土交通大臣に諸問題を質した。

 冒頭、長安議員は総理在任が戦後歴代3位になった小泉政治を振り返り、道路公団、年金、郵政など手がけたいくつかの改革はあるが、日本が安心して暮らせる国になったか疑問だとしたうえで、政治の最終目標はいかに国民を幸せにするかということだと主張。「国民の幸福に無関心な政治をこれ以上続けさせることはできない。小沢新代表のもと、近い将来民主党は必ず政権交代を成し遂げることを約束する」と宣言し、質問に入った。

 長安議員はまず、住宅政策においても社会の格差拡大に対応する必要があるとの考えを示し、住生活基本法案では社会的弱者への配慮が軽視されているとの懸念を示した。そのうえで、今回の基本法制定により、国民にどのような住生活を保障しようとしているか、安心して暮らせる社会をどう築こうとしているか、法の理念の説明を求めた。同時に、格差論に関連して、従来は公的住宅等が果たしてきたセーフティネットとしての機能を今後どのように位置づけていくのかを、北側国交相に質した。
 
 その質問に対して北側国交相は、法の理念について「豊かな住生活の実現には国民の多用なニーズに合った、安全・安心で良質な住宅が適時提供できる市場の環境整備が必要。市場において自力では住宅を確保することが困難なものに対する住宅セーフティネットの構築をはかることが必要」などと述べ、今法案ではそれらの視点を踏まえた基本理念を規定しているなどとする見解を示した。また、公的住宅におけるセーフティネット機能の今後の位置づけについては、「今後とも公的賃貸住宅の的確な供給・管理のみならず、民間賃貸住宅の活用も含め、セーフティネット機能の向上をはかる」などと答弁した。

 続いて、今回の住生活基本法案では「量から質へ」の住宅政策の転換を謳っている点について、世帯当たりの住宅数は1983年時点で1・1を超えている点を指摘し、「量的供給を優先するスキームを現在まで維持し、明確な方針転換を遅らせてきたのは政府の無定見と怠慢と言うべきではないかと問題視した。

 また、耐震強度偽装問題について、単に建築士制度の問題や、住宅に関わる業者のモラルの問題ではなく、これまでの住宅政策そのもののでたらめさを背景として、半ば必然的に成立した犯罪ではなかったかとして、偽装の発生を招き、それを発見できなかった原因、政府としての責任についてまず質問。第二に、未だ1000万戸を超える耐震性能が不足している住宅に対し、今後どのような対策をとっていくか、今回の住生活基本法でも、二重基準が長く放置されることになるのか、答弁を求めた。
 
 北側国交相は「検査機関のみならず地方公共団体も見逃したことは誠に遺憾」と表明。審査業務の指導監督や審査方法および体制の不十分な点、建築確認制度、建築確認検査制度そのものの抜本的な見直しによる再発防止策が必要との考えを示した。再発防止策については構造の専門家である第三者による審査を義務づけるなど、構造検査の厳格化や地方公共団体による立ち入り検査の導入など、民間検査機関に対する指導・監督の強化、危険な建築物の設計者等に対する罰則の強化を行っていくとして、今国会において建築基準法の改定を行うとともに、建築士制度の課題夏ごろまでに改正を行っていくとした。

 最後に長安議員は、基本法の制定そのものに反対しているわけではないとしながらも、ここ数年、公団や公庫などの改革が明確な理念を提示しないまま、ただ「官から民へ」という掛け声のもとに先行し、少なからず住宅購入を考える人たちを混乱させてきたと分析。その点を考慮すると、個別法の改正に先立って、国として住宅政策をどう考えるかという基本法を提示すべきだったと指摘した。そのうえで長安議員は、「私たち民主党は、小沢新代表のもと、心のこもった、中身のある、ほんとうの改革メニューを掲げ、政権に挑むことを最後にお誓いする」と力強く訴え、質問を締めくくった。
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