2006/04/13
【衆院本会議】消費者権利拡大へ民主党消費者契約法改正案審議
|
消費者団体が個々の消費者に代わって訴訟を起こすことができる「消費者団体訴訟制度」を創設することとする民主党提出の「消費者契約法の一部を改正する法律案」および政府提出の消費者契約法の改正案を議題に衆議院本会議が13日開かれ、民主党・無所属クラブの菊田真紀子議員が民主党案の趣旨説明を行うとともに、泉健太議員が質疑に立った。また、小宮山洋子議員(『次の内閣』ネクスト人権・消費者政策担当大臣)、枝野幸男議員(党憲法調査会長)が民主党案について答弁した。
菊田議員は消費者契約に関わるトラブルが増加する事態を受け、消費者団体が消費者に代わって提訴する、いわゆる消費者団体訴訟制度の導入の必要性が唱えられてきたと経緯を説明。「民主党案では被害を受けた消費者の立場に立ち、実効性のある消費者保護を整えた」と述べ、消費者の被害救済に消極的で不十分な内容である政府案に比べ、消費者団体の役割を積極的に評価することで消費者の権利保護に向けた法整備をはかったと表明した。
民主党案の要点として菊田議員は4点を提示した。消費者の被害の発生、拡大を防ぐため、適格消費者団体が事業者等に対し、その差し止めを請求できることと定めたのが第一の特徴。この点に関しては、政府案にも同様の規定があるが、差止めの対象が消費者契約法の不当な行為に限定されており、対象が極めて狭いものとなっている。それに対して民主党案では、民法における詐欺や脅迫に該当する事案や公序良俗違反なども対象にすることにより、消費者被害の未然防止・拡大防止を図る内容となっている。
特徴の第二は適格消費者団体が損害賠償等団体訴訟を追行し、これに係る確定判決に基づいて支払われた金銭等を配当できること。第三の特徴は政府案では適格消費者団体に係る適格性判断を総理大臣による認定制として団体の範囲を狭めているのに対し、民主党案では法令で定める登録拒否事由に該当する場合を除く登録制として適格消費者団体となりうる範囲を拡大し、行政の裁量の排除にもつなげた。第四には、適格消費者団体が行う差し止め請求関係業務や損害賠償請求関係業務のために必要となる資金確保等に向け、国および地方公共団体による資金面での支援を規定している。
質問に立った泉議員は、「全国の消費生活センターへの相談件数は10年間で8倍」などと、拡大する消費者被害の具体的な実態に言及し、新たな対策が早急に必要であると指摘。その上で、「損害賠償請求権」「適格消費者団体の認定」「差止請求の対象範囲」「後訴の遮断」「裁判管轄」の5項目について、猪口内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)と民主党案提出者の見解を質した。
答弁で小宮山議員は、諸外国での消費者保護法制にも言及しつつ、実効性を確保する措置が盛り込まれた民主党案の特長を紹介し、「広く消費者の皆さんの希望を取り入れた」と語った。枝野議員も、適格性の認定について答弁する中で、「個人消費者が集まって協力し、団体という形で権利を行使し、どうしてもできない件は行政が対応する。これが『民間にできることは民間に』というならば当然」と指摘し、行政の対応がまず重要であるかのような猪口大臣の答弁を批判した。そして、具体的な被害や訴訟の実態を踏まえた民主党案を、充実した審議の上で成立させるように要請した。
|
|
|