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2006/04/14
【参院本会議】内藤議員、住民基本台帳の個人情報保護など質問


 14日午前、参院本会議において政府から「住民基本台帳法の一部改正案」が提案され、内藤正光参院議員が代表して質問を行い、個人情報の保護を中心に政府の姿勢を問い質した。この法案は、住民基本台帳の閲覧が犯罪などに悪用されることを防ぐために、閲覧を法令に定めた事務の遂行および公益性の高い世論調査などに限定するとともに、これに対応した閲覧手続を定めるものである。

 内藤議員はまず具体的な例を挙げつつ、以前より改正の必要性が唱えられており、実際の事件も起こっているのに、政府が改正案の提出までに多くの時間を必要とした理由を質した。竹中総務大臣は、基本台帳には保護と利用の両面があるため、有識者の意見を聞き、実務の実態を検討して、慎重に行う必要があったと答弁した。

 内藤議員は、改正法案で閲覧を認める場合の公益性の認定基準および閲覧に対して自治体が独自の制限をかける場合の限界について質問した。総務大臣は、公益性の基準としては結果の公表や成果の社会への還元などを告示で定める、また自治体の権限は法律の趣旨の範囲内で可能であると答弁した。

 内藤議員は、今回の改正案では基本台帳の閲覧制限を定めているにもかかわらず、住民票そのものの写しを認めているのは問題があるとし、政府の対応を求めた。総務大臣は、すでに窓口での扱いを厳格にしており、今後は現在法制審議会で行われている戸籍の騰抄本の交付についての議論を踏まえたいと述べるとともに、閲覧者の氏名の公表などを行うとの答弁を行った。

 内藤議員は、関連する問題として個人情報保護法への過剰な対応を問題とし、JR福知山線脱線事故において病院が家族への氏名開示すら拒否したこと、県の福祉局が保有する高齢者・障害者の情報を防災部局が利用できないことなどの過剰反応事例を挙げて、政府の姿勢を質した。川崎厚生労働大臣は、緊急時の家族からの安否紹介は第三者提供禁止の例外であると明言し、総務大臣は保護と利用のバランスを取って対応すべきだとの抽象的答弁を行い、猪口担当大臣は個人情報を第三者に提供できる例を明らかにしているとのみ答弁した。また、内藤議員は、懲戒免職された公務員の氏名を匿名とするのは個人情報保護法への悪乗りではないかと指摘し、これに対して総務大臣は人事院の指針を踏まえて厳正な処分と公表が行われるべきだと答弁した。

 最後に内藤議員は、医療・金融・情報通信などの分野での個人情報の保護を個人情報保護法に基づくガイドラインで行っている現状には無理があるとの問題意識から、個別法が必要であるとし、関係大臣の見解を質した。情報通信について総務大臣は、通信記録の保護については電気通信事業法で措置されており個別法の必要性はないと、厚生労働大臣は刑法や保健師助産師看護師法等の規定と医療法による指導があるのでガイドラインで十分であると、与謝野金融担当大臣は各業法に基づいて行政処分をする方が実効性があるので省令を改正して対応していると、それぞれ現状維持を正当化する答弁を行った。
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