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2006/01/10
対案路線の貫徹、党内での徹底議論に意欲 前原代表、会見で


前原誠司代表は10日午後、今年最初となる定例記者会見を党本部で開いた。この中で前原代表は、この1年に臨む決意を改めて示し、対外的には通常国会でも対案・提案路線を貫くとし、党内においても基本政策でのコンセンサスを得るための徹底した議論を進めていくとの意向を示した。

 会見の冒頭、まず前原代表はこの冬の記録的な大雪に触れ、亡くなられた方が多く出るなど、多大な被害が出ていることにお悔やみと懸念を表明。党として対策本部を設置して対応にあたっており、自衛隊のさらなる活動要請や、関係地方自治体との意見交換なども進めていく考えを明らかにした。

 また前原代表は、この1年に臨む決意を述べるにあたり、先日、全国高校ラグビー大会で優勝した伏見工業高校の高崎監督が代表自身の幼い頃からの友人であることも紹介しつつ、二度もの全国優勝を成し遂げたことについて、「友人ではなく人間として、心から敬意を表し、おめでとうと申し上げたい」と祝意を表明。その上で、「同世代として逆に見習わなくてはいけない」として、党の代表として党をしっかりまとめきり、対外的に戦っていく中で、「全国制覇を果たす」と述べ、「政権交代を選挙で実現する」ことを、「改めてこの1年の決意とした」と語った。

 前原代表は更に、次期通常国会に臨むにあたって、「この国会は『安全国会』にしたい」とまず強調。「子どもの安全、建物の安全、乗り物の安全、食べ物の安全」の重要性に言及した。そして、「公の責任を放棄して民間に全てを任せたことが、結果的には安全・安心の基礎を大きく揺るがしている」と指摘し、「(建築物の)構造設計偽装の問題を中心に、どう国民の安全・安心を確保していくのか」が、「野党第一党の責務であると思っている」として、「問題の徹底した追及と、対応策を建設的に提案する中で、国民の負託に応えていきたい」との決意を述べた。

 次期通常国会で大きな争点となることが予想される医療制度改革についても前原代表は言及。「今の医療費が、対GDP比で7%台で、まだまだ低い」として、「本当に必要なところにはお金を使うという、民主党の、人に温かい政治を実現するために、対GDP比をもう少し増やしてもいいのではないか」と述べた。また、2007年には団塊の世代の方々が退職されることを念頭に、地域社会の中でボランティア活動などに参加をしていくことなどで人々が元気に過ごすことが、「ひいては予防医療につながっていく」として、「社会像の変質を通じて、医療費の抑制を図るべき」であって、「単に患者負担を上げて、無理矢理、患者を病院に来させないようにして医療費を低減させるのは、本末転倒だ」とも指摘した。

 わが党の中での考え方の集約についても前原代表は触れ、この通常国会会期中に、内政ビジョン、外交・安全保障ビジョンを示し、「党の考え方としてコンセンサスを得られるよう、党の中で徹底して議論していただきたい」と述べた。特に内政ビジョンについて前原代表は、「人生に生き甲斐を、女性に仕事と子育ての両立を、子どもにきめ細かな教育を」という「この三つを凝縮して、国民の皆さま方にアピールできるような、市民参加型分権社会の具体像」をしっかり示し、「党内での徹底議論を踏まえ、党としてのコンセンサスにまとめ上げていきたい」との決意を語った。

 また前原代表は、昨年の衆院選で示したマニフェストについて、特に農業分野の政策の見直しを行うかとの記者団からの質問に答え、農業政策に限らず、「今まで党内で徹底して議論して、積み重ねてきたものがたくさんある」とし、「多くは議論はするが、そのまま内容としては踏襲されるものがあるのではないか」と指摘。今週予定されている『次の内閣』集中討議において、主要政策の全てについて議論し、見直すことを前提として議論するのではないが、「踏襲すべきものは踏襲し、変えるべきものは変える。全てを聖域なく議論していく」との基本的な考えを明らかにした。
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