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2006/04/19
【衆院行革特】民主党の行政改革推進法対案は否決、政府案可決


 衆院行政改革に関する特別委員会の締めくくり総括質疑で、渡辺周議員に続いて、大串博志議員、渡部恒三国会対策委員長が質問に立った。質・討論終了後の起立採決で、民主党の行政改革推進法案は賛成少数で否決、政府案は賛成多数で可決された。

 大串議員は、政府の行政改革推進法案について、心もとない数値目標や期限が付されていない「検討」という文字が含まれるなどと指摘し、これまでの審議を通じて、内容に加え実効性についても疑問が深まったとの認識を示した。

 大串議員は特に、「地方分権についての視点の欠落」「天下り、談合に関する視点の欠落」「独立行政法人に対する留意不足」が「行革推進法案の忘れ物」であると表明。地方分権を抜本的に進める方針を法案に盛り込むべきであるとあらためて主張したが、前向きな答弁は得られなかった。

 大串議員はまた、民主党案では官製談合や天下りに対する強い姿勢が示されている一方、政府案ではそれらに規定がないという点に言及。中馬行革担当相は、官製談合防止法案など別の法律があることを例に、国民の関心が極めて高いこれらの問題について、政府案の中で規定する必要性を認めなかった。

 続いて質問に立った渡部議員は、民主党提出のがん対策基本法案の審議状況をまず取り上げ、政府与党ががん対策に関わる法案を提出しておらず、民主党案が衆院厚生労働委員会に付託されない状況への所見を小泉首相に質した。首相は国会対策については手を離れており、協議を進めて然るべく審議されるよう期待しているなどと答弁した。

 渡部議員は、首相の政治姿勢を問うと表明し、「規制緩和」「官から民へ」などの言葉を挙げて、政治の役割は、規制を残すべき部分、官で担うべき部分を決定することであると指摘。林業経営や中小企業への融資の状況も例示して、の役割の放棄は許されないとの考えを示した。小泉首相は、民間の力を発揮しやすい環境を作るべきだとした一方、地域・地方の特色を活かす施策の重要性にも言及した。

 渡部議員は、首都圏に人やお金が集中して地方が切り捨てられている一方、東京都の就学補助率が高いことにも言及。「この国が今やるべき大きな問題は、地域格差、経済格差、企業格差の是正」と指摘し、民主党に対して、「一日も早く立ち直るため起き上がってくれという気持ち」が集まっていると語った。その上で「弱い人、恵まれない人、本人の責任ではなくて世の中の変化の中で困っている人が、幸せに暮らせるために政治がある」と強調し、各地域に暮らす人々が良かったと思う、品格ある日本を作ることが民主党の21世紀のビジョンであると述べて質問を終えた。

 質疑後には、民主党・無所属クラブの大島敦議員が民主党提出の行政改革推進法案に賛成、政府案に反対の立場から討論を行った。

 大島議員は、現在政府が行っている事業を聖域なく見直し、不要な事業、民間にできる事業は廃止し、補完性の原則に基づき国と地方の役割を明確化するとしている民主党案に関連して、より効率的で室の高いサービスを実現するためには事業の整理は不可欠なプロセスであると指摘。民主党案は真に行政改革をするものと理解すると主張した。革の推進、債務保証・利子補給に絞った政策金融のあり方の提案、原則廃止の立場から改革の方向性を示した特別会計改革、地方分権の推進の結果として縮小される国の規模・機能に応じた公務員の人件費削減規定、労働基本権の原則回復などの抜本改革など、民主党案に盛り込まれている内容を列挙し、「まさに真に行政改革推進法の名にふさわしい法案だ」と論じた。

 一方で、政府案については中身が乏しいと評するしかないとの見方を提示。検討や今後の税金のムダ遣いをなくすため、一般競争入札の徹底、契約の透明化措置を盛り込んだ民主党案の特徴にも大島議員は言及。借り手の立場に立った政府金融改定めて行くというものが多いうえに、政府の事務事業についても「聖域なく見直していく」との姿勢が示されず、政府像・政府が担う機能といった行政改革の基本理念も欠如し、不透明な入札・談合阻止の規定も盛り込まれていない点を大島議員は問題視した。そのうえで大島議員は、民主党案こそが日本において早急に実現しなければならない施策の推進を図るための内容が盛り込まれているとして、民主党案への賛同を呼びかけ、討論を終えた。

 討論後には北橋健治議員が立ち、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する修正案」の提案理由説明を行った。北橋議員は競争の導入による公共サービスの改革は、何よりも公共サービスの利益を享受する国民の立場に立って行うものでなければならないと改めて指摘。「委員会の審議を踏まえ、その旨を条文上に明確にするための修正を行うことが必要であると考えた」と述べた北橋議員は、第三条の基本理念に、競争の導入による公共サービスの改革は、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って行う旨を明記するとする修正案の趣旨を提示した。

 民主党の行政改革推進法案は賛成少数で否決、政府案は賛成多数で可決。北橋議員が求めた修正案も賛成多数で可決され、公共サービス改革はこの修正を行ったうえで可決した。また、公益法人制度改革3法案については付帯決議を付したうえで賛成多数で可決した。
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