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2006/04/28
BSE香港調査団報告行い、今後求められるBSE対策のあり方指摘




 党BSE香港調査団は28日午後、国会内で会見を行い、香港において3月、4月に骨片が混入した輸入米国牛肉が見つかったのを受けて24日に実施した現地視察報告を行うとともに、日本においては連休明けにも米国産牛肉の輸入再開への動きが活発化する可能性が高いのを受けて、食の安全・安心の確保という観点から見えてくる政府対応の問題点等に言及した。

 会見には、党BSE問題対策本部本部長の山岡賢次副代表はじめ、調査団の末松義規同本部副本部長(団長・国際局長)、田嶋要同本部事務局長(役員室次長・危機管理担当)、白眞勲同本部事務局次長(参議院国会対策副委員長)、同本部副本部長の篠原孝農林水産団体局長、同本部事務局次長の岡本充功農林水産団体局次長が同席した。

 香港調査団は骨片混入が発見された香港国際空港食物検査事務所を視察するとともに、いわゆる香港政庁関係部門である香港食物環境衛生署長との会談、議会に相当する香港立法会食物安全環境衛生委員会委員との会談、邦人記者との懇談等を行った。

 冒頭、山岡本部長は米国産牛肉輸入再開に向けて連休明けから実務者会議が始まるとの見方を示したうえで、「また輸入圧力が強まってきている。BSEの問題はまた新たに大きな問題になってくる」と述べ、調査団報告等から見えてきた今後の問題点を明らかにした。

 「香港は間違いを起こした事業者だけを対象に輸入禁止しているのに対し、全面廃止に踏み切った日本の対応は問題」とする米国の主張に関連して、調査団報告から見えてきた問題点の第一について語った。調査では発見された骨片は特定危険部位(SRM)ではないとの認識のもとに香港の輸入禁止は行われるものであり、「日本と同じようにSRMが入っていたならば、日本と同様に当面の全面廃止に踏み切った」とする主旨の発言が香港食物環境衛生署長からあったことを報告。日本の対応を一方的に否定する米国政府の姿勢は、明らかに誤っていると指摘した。

 問題点の第二として、輸入再会へ向けた実務者協議前に行われるべき日本政府による米国やカナダ国内の輸出認定施設の査察のあり方にも、大きな問題があると指摘した。山岡本部長は岡本農林水産団体局次長の強い要請によって厚生労働省・農林水産省が連名で、文字通りやっと提出してきた「米国における日本向け牛肉輸出認定施設等の査察及び調査結果報告書」「カナダにおける日本向け牛肉輸出認定施設等の査察及び調査結果報告書」を提示。報告内にある「国内規制を含む食品衛生対策」とされた項目の検査官数や獣医数がどの施設の査察報告も一律に黒塗りにされているなど、米国内の衛生対策の実態に大きな疑念を抱かざるを得ないようなデータの示され方を極めて深刻に受け止め、問題視した。「日本の国民のために調査に行ったのがこの資料であるのに、それを国民の代表であるわれわれに真っ黒にして出す姿勢は断じて許されない」と語った。

 第三の問題点として山岡本部長は、米国産牛肉の輸入再開をめぐり安全評価を担った食品安全委員会プリオン専門調査会専門委員12人のうち6人が辞任したことに言及。「安全委員会の答申によって輸入再開の道筋はできたわけだが、恣意的な諮問があったればこその答申であった可能性があるとの見方を示し、政治交渉による政治的輸入再開へ向けた裏づけの道具にされたのではないかと指摘した。そのうえで山岡本部長は食品安全委員会の中立性確保に向け、民主党は働きかけを強めていく考えを強調した。

 会見に先立ち、党BSE問題対策本部は同日午前、国会内で会議を開き、党BSE香港調査団からの報告を受けるともに、民主党としての今後のBSE対策に関して協議した。

 調査団団長の末松国際局長は、日本政府が米国産牛肉の輸入停止に踏み切り、香港では該当する事業者からの輸入禁止とした対応の違は、それは発見されたものが特定危険部位(SRM)だったか否かの決定的な違いによるものであることを指摘。田嶋役員次長は、食の安全を守る所管省庁が農林水産省・厚生労働省の二省に分かれていることで、縦割り行政の弊害によって安全対策が一本化できない日本と比べ、香港では食物環境衛生署が一元的に管理していることが報告された。そうした実態調査を踏まえ、二元体制となっている日本の現状を改善していくのが今後の課題だと語った。白参議院国会対策副委員長は、訪問した日本総領事館について日本政府の出先機関という位置づけであるにもかかわらず、食の安全確保に向けた認識が薄い印象を受けたことを指摘した。
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