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2006/01/23
鳩山幹事長、ネパール元情報通信相と現政権情勢めぐり意見交換


鳩山由紀夫幹事長は23日、党本部でネパールのジャラ・ナト・カナル元情報通信大臣の表敬訪問を受け、現政権下でのネパール情勢について意見を交わした。

 ネパールでは、直接統治を続けるギャネンドラ国王と、民主化を求める主要7政党とが対立、政情は混迷していると伝えられ、カナル元情報通信大臣は現在、主要7政党のリーダー的存在。民主党は民主主義確立の必要性に着目し、国王と主要7政党の歩み寄りの道を探る観点から話を聞いた。会談には、『次の内閣』ネクスト厚生労働副相の円より子参院議員、国際局副局長の白眞勲参院議員、三谷光男衆院議員、松下新平参院議員が同席した。

 カナル元情報通信大臣は冒頭、「ネパールは今、大きな問題に直面している」と語り、2005年5月以降の独裁的ともいえる国王政府に対し、反政府武装勢力「ネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)」と政府軍部隊の衝突といった問題がある一方で、「民主主義がなければ平和も開発もない」との考えのもと民主主義の確立に向け尽力しているのが主要7政党であると説明。「われわれの目標は平和主義、民主主義の構築だ」と重ねて述べ、民主主義を軸に7政党が連携する形で運動を展開していることを明らかにした。

 民主主義構築への過程として、国会の再開を政府に求めるとともに、複数政党制、基本的人権や法治国家、民主主義の原則などをマオイストが受け入れることを謳った12項目を盛り込んだ合意文書に主要7政党とマオイストそれぞれが2005年11月に署名したことをカナル元情報通信大臣は紹介。「マオイストは政治的解決になるなら民主主義的政治に出る用意があるとしている。しかし、独裁政治を行う国王政府は合意していない」と訴えた。20日には主要7政党関係者らが首都カトマンズで選挙ボイコットを呼びかけるデモを計画していたが、政府は同日、治安当局が政党指導者や支持者約700人以上を逮捕・拘束したことにも言及。「われわれの方針、言動が正しいかどうか、国際的に判断してほしい」とカナル元情報大臣は語った。同時に、日本はじめ米国、インド、欧州連合(EU)など各国・機関が懸念を表明、政党指導者の釈放を求める声明を出したことにも言及した。

 カナル元情報通信大臣また、国家予算の使い方未公開、不透明である上、日本からのODAの多くが国王の懐に入っているとの声もあり、従来の国会議員の12年間分の議員年金と同額の税金約30億円を国王が自らのためにたった2年間で浪費したとの指摘もあるとした。「ネパールは貧しい国ではないが、こうした人々に貧しくされた」とも語った。

 鳩山幹事長は「私どもが貴国に対し何ができるか、真剣に考えたいと思う」との考えを表明。国王の非民主主義的な政治に対してはどのような国際的な関与が効果的か、ODAなどの供与のあり方の見直しをすべきかを質問。そうした問いに対してカナル元情報通信大臣からは、国際的な働きかけは大きな意味を持つとの認識が示されるとともに、ODA支援等に関しては「差し止め」ではなく「使途があいまいなものには支援しないとの前提のもと、支援後の検証を義務付け上での使い道を明確にさせた条件つき支援」に限定するべきとの提案がなされた。

 また、国王が来月8日に設定する地方選挙を主要7政党がボイコットしようとしている理由を鳩山幹事長が質したのに対してカナル元情報大臣は、「みせかけの選挙に過ぎない」とする見方を示し、軍隊の監視下で強要された選挙が行われることは明白で、民主的な選挙は実現しない可能性が大きいことを指摘した。

 さらに、「可能であれば野党第一党として(ネパール政府のこうした現状に懸念を表明する)声明を出してほしい」との求めがカナル元情報大臣あった。

 鳩山幹事長は「ネパール国民の基本的人権を取り戻し、情報の公開性、透明性を求めることなどを盛り込んだ、国王に対する声明を発信する」ことや、国会での質問・議論を通じてネパールの現状を日本国民に知らせること、使途目的に条件をつけるなどODA支援の見直しを外務省に働きかけること、ネパールへの現地調査などを検討していきたいと、表明した。
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