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2006/01/23
【衆院本会議】長島議員、外交安全保障政策への首相の見解質す
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23日午後の衆議院本会議で、民主党・無所属クラブから、前原誠司代表に続いて質問に立った長島昭久議員(『次の内閣』ネクスト防衛庁長官)は、主に外交安全保障政策について、首相の見解を質した。
長島議員は冒頭、小泉外交には「アジアとの関係を基盤に、日米関係をさらに強化する」という視点が足りないと述べ、日本の最高指導者として、中国や韓国の首脳と信頼関係を構築する重要性について認識を質した。小泉首相は答弁で「我が国としてはいつでも日中、日韓会談を行う用意がある。一部の問題があるから首脳会談を行わない、というのが常識的な立場とは思っていない」などと語った。
日中関係について、長島議員は「(中国を)欧米と調和しうる価値観に基づいた『責任ある地域大国』へと導いていくために、日本の果たすべき役割は大きい」と述べ、日中間でエネルギー開発など、共同作業を進めることにより、中国を平和協調的な路線へ導くことは可能であるとの見方を示した。
長島議員はまた、上海総領事館の情報担当職員が自殺した事件にも言及し、国会で真相を究明すべきと主張。あわせて、「日本外交の危機的な状況に対する自覚が薄い」と戒め、カウンター・インテリジェンス(防諜)に関する今後の具体的な対処策を質した。首相は「国会における議論も踏まえながら事実関係の解明に務める」と答え、対外情報機能の強化を図る考えを表明した。
長島議員は、日米同盟関係の強化については、近隣諸国や、米軍基地を抱える自治体の不安を取り除く丁寧な説明や、信頼醸成のための真摯な努力が必要だと述べた。そして、小泉政権には、そういった外交の「デリカシー」が欠けていると問題点を提起。「説明責任に対する認識の甘さが、日米同盟の基盤である国民の支持に、いかに深刻な亀裂を生じさせてしまっているか」として、挽回のためには日米地位協定の改定など、相当な努力が必要だと述べた。小泉首相は「運用の改善により機敏に対応することが合理的。運用改善の成果を積み上げるよう努力する」などと、地位協定の改正には慎重な見方を示した。
長島議員は、内政上の課題についても代表質問で触れ、地方分権について、自治体の立法権や広域のイメージ、住民の直接参加等について、基本的な考え方を示すよう強く求めた。首相は、税源委譲や補助金改革などの三位一体の改革が「地方からも期的な対策と評価されていると承知している」などと答弁するに留まった。
医療制度改革については、「今こそ医療保険制度の根本的な見直しを実施すべき」であると主張。総合的な保険制度のビジョンを提示するようこと、医療の質や必要なサービス量の確保などに関する国民の懸念に答えること、がん対策や産科医の減少などの医療が直面する課題へ取り組むことを求めた。
また、犯罪被害者への支援策については、経済的な支援策のあり方が決まっていないと指摘。国として犯罪を防げなかった責任意識や、被害者の人権を救済するという欧米の被害者支援の基本理念を紹介し、『犯罪被害者の基本的人権を保障する』という憲法の要請に従って定める、との明確な指針を示すように要請した。小泉首相は「切実な要望がある重要課題」としつつも、「将来に向けて現状よりも手厚い制度となるよう、社会保障、福祉制度全体の中におけるあるべき制度を2年以内に検討し、施策を実施することとしている」と述べたのみであった。
長島議員は最後に、憲法改正に言及し、民主党は、先に取りまとめた『憲法提言』を携えて全国を回り、国民の皆さんとの議論を積みかさね、コンセンサス重視の憲法草案づくりを進めると表明。「今年還暦を迎えた日本国憲法を見直すことは、戦後の生き方を見直すことにも繋がる」と指摘し、「『官』の効率化は進めつつも『民』の公共性を育む」ことによって、地域の絆と公の精神に支えられた「公正で誠実な政府」を樹立し、『国家の品格』を取り戻す、と決意を述べて質問を終えた。
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