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2005/06/03
【衆院郵政特】仙谷議員、民営会社の金融兼業問題や年金問題を追及


 3日午後、衆議院郵政民営化に関する特別委員会で民主党の2番バッターとして、仙谷由人政策調査会長が質問に立ち、民営会社の金融業兼業問題や年金積立金問題を取り上げ、答弁者に出し直しを求めるなど、鋭い追及を行った。

 冒頭、仙谷政調会長は、郵政民営化は小泉首相にとっては大テーマだが、国民にとってはわけの分からないことであるとして、首相の独善を戒めた。更に、自民党議員からは、郵政民営化を進めているのは首相ただ一人であるとの声が聞こえてきており、またアジア外交の停滞に見られるように、首相は自民党を壊すと言いながら日本を壊しているとして、首相の独善を指摘した。

 そして、日中関係の停滞を招いている小泉首相の靖国神社参拝問題について、中曽根元首相の個人としての参拝の意思と、首相としてのアジア諸国への配慮による参拝中止の判断を踏まえつつ、首相に日本のトップリーダーとしての判断、首相としての適格性が問われているとした上で、郵政民営化関連質問に移った。

 仙谷政調会長は第一に、郵便局の民営化で国民生活の何が変わり、何が変わらないのかを質問した。これについて小泉首相は、民営化すれば国営事業の枠が外れるので、今までに扱うことの出来なかったものが取り扱えること、リスクがあっても需要のある分野に投資できること、国家公務員の数が減ること、納税がされること等を挙げた。仙谷政調会長は更に、民営化のデメリットについて質問したが、首相は、現在の郵便局が全部残るわけではないが、山間部では設置義務があるとして、デメリットはあまりないとの趣旨の答弁を行った。更に仙谷政調会長は、民間の領域に巨大な怪獣のような民営会社が進出することの問題点を厳しく指摘した。

 第二に仙谷政調会長は、窓口となる郵便局会社が同時に銀行や生保など代理店業務を行う場合、例えば変額保険を売るために融資を行う等のバブル期に見られた問題が発生する恐れを鋭く指摘して、銀行の他業禁止がないがしろになる点について答弁を求めた。これに対して竹中担当相や伊藤金融庁長官は、それぞれの業法に基づく規制があるので問題はないとの答弁に終始したが、仙谷政調会長は、「それは腰ぎんちゃく解釈で、顔を洗って出直すべきだ」と喝破した。また、民営会社が進出する民業では、従来の民間企業とのトレードオフの関係が生じると指摘した。

 第三に、現在の郵政公社は企業会計原則を適用しているにもかかわらず、過去勤務分の退職金および退職年金の積み立てを行っていない点を仙谷政調会長は指摘し、そのような状態での民営会社の株式が売却できるかどうかについて質問した。政府の答弁は混乱を極め、委員長の発言によって、次の質問者の質問時間に答弁をすることとなった。しかし、過去勤務部分の積み立てはされておらず、そのためには6〜9兆円の財源が必要となること、そしてこの問題を回避するために民間会社でありながら年金だけは共済年金にとどまるよう法案に規定されていることが明らかとなった。仙谷政調会長の指摘に対して、竹中担当相は、民間会社の年金が共済にとどまっても何ら問題がないとの強弁に終始した。
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