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2005/06/08
当事者の声に真摯に応えるべく「障害者自立支援法案」修正協議へ
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横路孝弘『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣は8日、厚生労働省内で記者会見し、同日行われた民主党『次の内閣』閣議を経て決定した「与党と修正協議を行う」とする「障害者自立支援法案」をめぐる民主党の対応を明らかにした。
横路ネクスト厚労相は会見の冒頭、「民主党は基本的にはこの法案には反対」とする考えを表明。「本人の自己選択・自己決定、施設から地域へをキーワードに広がってきていたものが、この法案によって逆戻りする危険性がある」との懸念を示した。
しかし、そうした見方があるにもかかわらず、修正協議を求める理由について横路ネクスト厚労相は、本法案が障害者の生活を直接左右するものであり、及ぼす影響は大きいとの観点から、障害者や家族および関係団体から、一歩でも二歩でも法案の改善をして欲しいとの悲痛とも言える要望が届けられたことに起因すると説明。そうした当事者の声に真摯応えていくことは政治の重大な責任との思いで、民主党は与党との政治レベル協議を行うこととした。同時に法案にとどまらず、障害者等の生活を実質的に左右する政省令事項等も与党と協議する。
具体的には下記の9項目に関して、法案の修正、実質的な障害者福祉サービスの水準確保・向上を求め、それにより障害者等の生活維持、自立と社会参加の実現を目指す。
(1)法案の目的に障害者基本法の目的に明記されている「自立及び社会参加」を加える。
(2)定率負担の凍結・所得保障…利用者に負担を求めるにあたっては当事者のみの収入に着目することとした上で、障害者の所得保障制度の確立及び低所得者の負担軽減策の具体的な拡充が実現するまでの間、定率負担の導入を凍結する。
(3)移動の保障…地域生活支援事業における「移動支援事業」は据え置きつつ、個別給付の「重度訪問看護」「行動援護」の対象を拡大し、サービス受給者の範囲を実質的に現状水準に維持することにより障害者の社会参加を保障する。
(4)「自立支援医療」の凍結…公費負担医療を自立支援医療とする本年10月からの実施は凍結し、改めて医療を必要とする者の範囲、自己負担の在り方を検討する。
(5)重度障害者の長時間介護サービスの保障…国及び都道府県の障害福祉サービス費に係わる費用負担については障害程度区分の基準サービスに該当しない非定型・長時間サービス利用者の場合でも義務的経費の負担対象とする。
(6)住居支援サービスの水準確保…障害程度別にグループホーム・ケアホームへの入居の振り分けは行わないこと。またグループホームにおけるホームヘルパーの利用を可能とするなど、重度障害者の入居可能なサービス水準を確保する。
(7)本人の意見聴取…「障害程度区分の認定」「支給要否決定等」を行うにあたり、障害者等又は保護者の求めがある場合には、その意見を聴取することを義務づける。
(8)対象拡大及び障害定義の見直し…発達障害・難病等の者に対する本法の適用について、障害者等の福祉に関する他の法律に定める障害者の範囲の見直しと併せて速やかに検討し、必要な措置を講ずる。
(9)権利に係わる制度の確立…障害者の虐待防止に係わる制度、障害を理由とする差別禁止に係わる制度、成年後見制度その他障害者の権利擁護のための制度について、速やかに検討し、必要な措置を講ずる。
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