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2005/06/14
【衆院郵政特】古本・辻議員、郵政広報の疑問点等追及し、審議中断


 衆議院郵政民営化に関する特別委員会で14日、民主党・無所属クラブの古本伸一郎・辻惠議員が質問に立ち、政府提出の郵政民営化法案の瑕疵をめぐり、関係大臣を追及した。

 午前中、質問に立った古本衆院議員は、「良質で多様なサービスを安い料金で提供できるようにする」「郵政公社に対する見えない国民負担を最小化していく」「公的部門に流れていた資金を民間部門に流していく・国民の貯蓄を経済活性化につなげる」といった3つの柱に照らしながら議論したいと前置き。民営化で4分社化された後、郵貯銀行と郵便保険会社が郵便局(窓口)会社に支払う委託手数料の問題を取り上げた。古本議員は契約形態について「窓口をもたない銀行ができるわけで、郵便局のネットワークを頼らざるを得ないわけだが、郵貯株式会社と郵便局株式会社が契約を結び、出先である全国の局がもれなく委託手続きを結ぶことになるかを質問した。竹中担当相は、「全国津々浦々のビジネスモデルを想定している。赤字局も含まれる」と答弁。古本議員はその答弁を受け、法案の何条にそれが示されているか具体的に示すよう竹中担当相に求めたが、明確な答弁を回避。古本議員は理事会で諮った上で明示するよう重ねて求め、理事会での検討を委員長は了承した。

 古本議員はまた、銀行の代理業務をめぐって銀行法88条を根拠に追及。「代理店たる委託先は専業義務を課しているはず。ところが今回の委託先である郵便局の窓口ではよろずビジネスが展開されることになる」と指摘。専業業務形態をとらない郵便局の窓口に代理業務委託を許可するのであれば既存の都市銀行・地方銀行・信用金庫等にも同様の許可を認めるべきとの考えを示し、伊藤金融担当相に答弁を求めた。伊藤金融担当相は「現行の銀行法では銀行代理店については、銀行が代理店の健全かつ適切な運営を確保することを求めており、そうした前提が満たされれば、郵便局株式会社が一般金融機関の代理店となることは可能である」と答弁。民営化に際しては代理店の健全性のチェックは内閣府令で対処するとした。それを受けて古本議員は「不公平極まりない」と批判し、郵便局株式会社にだけ金融機関の代理業務委託を認める郵政民営化法案の矛盾を突いた。

 辻惠衆院議員は、昨日に引き続いて、郵政民営化準備室が行った新聞折込みの事業の疑問点について質問した。辻議員の追及に対して、政府委員は答弁を二転三転させたため、審議はしばしば中断した。辻議員はまず、昨日の質問を確認し、有識者からの意見聴取はすべてボランティアだとしたのは、「間違いないか」と質した。内閣審議官は、昨日の答弁を訂正し、1名に謝礼を支払ったことを認めた。

 更に辻議員は、昨年設立されたばかりの会社に発注した理由などを、会社設立者が、大手代理店勤務で、かつて政府広報の担当者だったこと、この会社からの企画が提案(12月16日)されてから、わずか、10日足らずで契約(12月28日)となっている点を明らかにしながら、問い質した。内閣府は、会社の決算、実績、見積もりなど資料の提出を約束した。また、この会社を紹介したのが、内閣府の参事官であり、郵政準備室に対して、企画を採用するよう要請する文書が出されれたことも質疑の中で明らかになった。

 会社が提出したとする、契約の中間的な見積もりがあったかどうかについても辻議員は、見積もりがあったとすれば、最終的な金額との違いを質したのに対して林政府広報室長が、「あいまいなので帰って調査して答える」と答弁。以前の中間的な見積もりがあったとする答弁と食い違ったため委員会は中断、休憩に入った。

 休憩後、政府側が会社概要などを提出、審議が再開された。冒頭、林広報室長が「先ほどの答弁は、私の思い違いだった。1億5000万円という金額を聞いていたため、見積書と勘違いした」と答弁を訂正した。辻議員は、会社概要に未払い法人税が記載されているのに契約した理由、9150万円の売上げしかないのはなぜか、いつ、誰が会社に契約の意思を伝えたのかなどを質したが、政府側はまともに答えられず、午後5時前、質問は理事会扱いとなり、委員会は散会となった。
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