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2006/01/23
【衆院本会議】前原代表、小泉改革の『影』の部分を鋭く指摘し追及


 前原誠司代表は、23日午後に開かれた衆議院本会議で代表質問に立ち、豪雪対策、耐震強度偽装問題、米国産牛肉輸入再開問題、子どもの安全、靖国神社参拝問題などについて小泉首相の所見を厳しく質したほか、小泉改革の『影』の部分について鋭く言及し、堂々と追及を展開した。

 前原代表は冒頭、昨年末からの豪雪により亡くなられた方が100名以上になるなど大きな被害をもたらしていることに触れ、「国の責任において、住民の安全確保と被害の拡大防止、そして自治体への支援に、より一層の取り組みを」と求めた。

 また、民主党としてこの国会を『安全国会』と位置づけていることを改めて表明した前原代表は、小泉政権が、生活弱者を切り捨て、財政赤字を増大させ、そのツケを現役世代に回し、所得格差を拡大させたと厳しく批判しつつ、「人権問題にきわめて冷淡な」政治姿勢を厳しく質した。同時に前原代表は、「行革なくして増税なしを貫き通す」とともに、「効率的だが人に温かい政治」の実現のため、重要な政策については対案路線・提案型を貫くとの決意を改めて表明し、真摯な議論を小泉首相に対して求めた。

 耐震強度偽装問題については、事件の背景に「公が担う責任まで自民党政治が放棄した」ことがあるとの厳しい見方を示しつつ、小泉首相に対し、責任の所在についての認識を質問。小嶋社長の再喚問、自民党の伊藤公介衆院議員ら「関係者の証人喚問、参考人招致も不可欠だ」として、自民党総裁として積極的な対応を行うよう強く求めた。これに対して小泉首相は、「居住者に対する公的な支援を行う必要がある」としつつ、証人喚問等への対応については、「国会においてよく議論を」などと、真相究明に向けた熱意が全く感じられない答弁に終始した。

 前原代表は、特定危険部位の混入が判明した米国産牛肉の輸入再開問題についても触れ、政治的判断から輸入再開を急いだとして、「総理の責任はきわめて重大だ」と批判。日米関係を優先して、「国民の生命と健康をないがしろにした」対応を、「言語道断だ」と厳しく指摘した。また、民主党としては先の国会にも提出したトレーサビリティ法案の早期成立などを求めていく考えを示した。これに対して小泉首相は、二度とこうしたことが起こることのないよう、米国政府に対し、原因究明と再発防止を求めている、などとした。

 子どもの安全対策や公共交通機関の安全についても質問した前原代表は、小泉改革の光と影についても鋭く質問を展開。小泉首相に対し、自民党総裁任期の9月いっぱいで退任するとの確認をとりつつ、ライブドア事件にも言及し、「きわめて悪質かつ重大な事件だ」とまず指摘。事件の根底に、「偽装や粉飾までして利益を上げるという社会的風潮が蔓延している」ことがあるのではないかとして、強い危惧の念を表明した。同時に前原代表は、先の総選挙で堀江社長を「小泉改革の広告塔」として利用した自民党の姿勢にも厳しい批判を加え、その「道義的責任を免れることはできない」とした。小泉首相は、ライブドアへの捜査と党幹部らによる堀江社長への応援は、「全く別の問題だ」などとして逃げの姿勢に終始した。

 前原代表は更に、自らが、公共事業、特別会計、公務員制度、分権、省庁再々編の5つの分野で改革を主張してきたことに改めて言及し、小泉首相の改革が「まだまだ手ぬるく、全体像が見えてこない」と批判。そして公務員制度改革に特に触れ、人件費総額の削減幅、労働基本権の付与と人事院勧告制度のあり方、国家公務員法第78条の適正運用などについて質問した。

 前原代表はその上で、小泉改革の『影』の部分について、第一に経済・雇用・生活を破壊したこと、第二に将来世代に莫大な借金が残ったこと、第三に社会の格差を拡大したこと、第四にセーフティネットを壊したこと、第五に未来を担う子どもたちの教育基盤を揺るがしたこと、それぞれについて具体的数字を示しながら、厳しく指摘を行った。小泉首相は、例のごとく自画自賛の答弁を展開したが、前原代表が鋭く指摘した、こうした『影』の部分については答弁を避けた。

 外交問題についても前原代表は触れ、北朝鮮との関係について、これまで経済制裁の実施を強く主張してきた安倍官房長官の見解を質すとともに、「拉致、核、ミサイルなどの全面解決なくして、国交正常化を急ぐ必要性は全くない」と指摘。アジア外交についても、日米関係の重要性は認めつつも、「日米関係だけをテコに、中国や韓国、その他のアジアの国々との関係がうまくいくとは到底思えない」として、小泉外交の基本姿勢に厳しい批判を加えた。また、昨年末の訪中を踏まえて、民主党と中国共産党との間で定期協議をスタートさせることを紹介した前原代表は、「率直に話し合い、相互に理解し合い、真の信頼関係を構築したい」との意欲を表明。日中両国の次官級協議の定例化について提案を行った。

 小泉首相の靖国神社参拝問題についても前原代表は、多くの日本人が先の戦争で亡くなられた方々の「御霊に思いを馳せることにより、不戦の誓いを新たにしている」と述べつつ、首相の参拝に慎重な世論が多いことについて、A級戦犯が合祀されていることを指摘。「人の足を踏んだ人は、どんなに想像力を働かせても、足を踏まれた人の痛みを理解することはできない」として、他国からの指摘でなく、「わが国の大局的な判断によって、A級戦犯が合祀されている間は、総理や官房長官、外務大臣は参拝しないという政治風土が築かれるべきだ」との主張を堂々と展開した。

 また、小泉首相が、耐震強度偽装問題に関して自民党の伊藤公介議員らの証人喚問・参考人質疑の実施に向け、自民党総裁としての考え方を問われたにも関わらず、全くその考えを示さなかったことについて前原代表は、「政治とカネの問題につながる」とも指摘して、首相に対し、「党の責任者としてどう考えるのか」と再質問を行った。しかし小泉首相は、「院の運営に関する問題」だとして、他人事のような消極的姿勢を崩さなかった。
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