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2006/01/25
【参院本会議】ツルネン議員、外交・農業・教育問題などを質す


25日午前、参議院本会議において、ツルネンマルテイ参院議員が代表質問に立ち、外交・農業・教育などの問題について、小泉首相などの見解を質した。

 第一に、ツルネン議員は、予算審議中心の衆院に対して決算審議によるチェック機能という参院という役割を説き、中立の立場からのチェックを行うためには参院から大臣などとして行政府に入るべきでないという考え方があることに触れ、首相の考えを質した。これに対して首相は、大臣の任命権は首相にあり、必要な人材として就任を要請することはあるが、その際に就任を辞退することは自由であると、制度の解説のような答弁を行った。

 第二に、ツルネン議員は、敗戦国である日本が政治力や軍事力による外交ではなく、ODAを主たる手段とした外交を行わざるを得なかった事実をふりかえるとともに、ODAを必要としなくなった国々が日本への批判を強めている事実を指摘し、首相に対して新たなアジア外交の手法を問った。また、アメリカと親密にすることがアジア外交にも役立つという首相の方針は誤っているとして、首相にそれに代わる具体策を質した。さらに、靖国参拝問題への言及は不要であるとしつつ、日本のアジア外交の見直しについて質問した。これらに対して首相は、ODAは継続して行っていく、またアジア外交を行う上でも良好な対米関係が必要と考えると答弁し、さらに不要との言葉にもかかわらず靖国問題に触れ、中国や韓国以外に靖国参拝を批判する国はないと言い切った。

 第三に、ツルネン議員は、有機農業が成果を上げつつある現状を示して、有機農業が日本農業を再生する切り札になる可能性を持っていると訴えるとともに、有機農業推進議員連盟が提出を準備している有機農業への支援法の必要性について政府の考え方を質問した。これに対して中川農水相は、有機農業が多くの国民に支持されている現状を認めるとともに、農水省として有機農業の拡大のために技術面・金融面などからの支援を行っていることを答弁した。しかし農水相は支援法の必要性については、その趣旨を認めつつも、現行施策を行うことで足りるとして、消極的な答弁を行った。

 第四に、ツルネン議員は、リスクコミュニケーションの重要性を訴えつつ、現状ではそれが政府の方針を説明・説得するだけになっているとし、BSE問題がその典型例であると指摘した。そして、米国産牛肉の輸入再禁止に至った責任、輸入再開の見通し、原産地表示などトレーサビリティの義務付けの重要性について、首相に質した。これに対して首相は、輸入解禁は食品安全委員会での科学的議論にもとづくものだとの答弁を繰り返し、輸入再開の時期については日米間の合意の遵守が前提になると答え、トレーサビリティの義務付けは国際協定との関係で問題があると消極的な答弁を行った。

 第五に、ツルネン議員は、茨城県における鳥インフルエンザの発生原因として未承認ワクチンの使用を指摘する声を取り上げ、その使用実態について質問した。また、政府のアスベスト被害救済法案の不十分さを指摘し、より充実した補償を求める市民の声への対応の必要性について質した。これに対して首相は、鳥インフルエンザの発生原因が未承認ワクチンにあることについては、その事実が確認されていないと答弁し、アスベスト被害救済法案については、個別的な因果関係を明らかにすることが困難なので、他の制度とのバランスを考慮して補償水準を決定したとのみ答弁した。

 最後に、ツルネン議員は、戊辰戦争後に長岡藩の大参事・小林虎三郎が百俵の救援米を藩士に分配せず、その売却代金を学校運営に注ぎ込み、人材の育成を図ったエピソードを引き、わが国の義務教育に対する公的支援がOECD諸国中最低水準である中で、義務教育に対する基本理念と費国庫負担を二分の一から三分の一に減らす根拠を質問した。これに対して首相は、国による教育の基盤整備も地方の自主的教育方針も必要であるとの抽象的な答弁に続けて、義務教育費国庫負担の削減と地方への税源移譲を合わせて行ったものだと答弁し、具体的な根拠を示さなかった。

 ツルネン議員は、四国遍路の体験から学んだ奉仕の精神の素晴らしさを語り、政界においても奉仕の精神が強くなることを願って、質問を終えた。
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