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2006/01/25
【参院本会議】岩本議員、小泉虚構改革の弊害是正に向け問題追及
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参院本会議で25日、民主党・新緑風の岩本司議員が代表質問に立ち、「小泉政権の進める構造改革は虚構の改革だ」と冒頭で指摘。小泉構造改革の本質は弱肉強食政策であり、勝ち組と負け組との二重構造社会を構築していく政策でしかなく、日本人が古来より培ってきた地道に働く国民性が忘却の彼方へと送られようとしていると分析した上で、「小さな政府」を追求するあまり、国民の安全、安心が犠牲にされているとの見方を示し、こうした状況下にある日本が抱える諸問題に関して小泉首相らの見解を質した。
岩本議員はまず、特別会計にめぐって「無駄遣いの温床となっている特別会計に根本的にメスを入れ、既得権を温存しようとする省庁の体質を是正すべきである」とする民主党の従来からの主張を改めて示した。
その上で、昨年12月に政府が閣議決定した「行政改革の重要方針」に言及。「今後5年間を目途に特別会計の見直しを完了する」と宣言しているが、その実態は個々の特別会計で民営化を明示したものはひとつもなく、統合も数合わせ的なものに留まっていることを明らかにし、「場当たり的な改革ではないか」として小泉首相の見解を質した。道路整備特別会計の道路特定財源の見直しについても、具体案は6月まで先送りされている点も岩本議員は問題視し、首相に答弁を求めた。
特別会計の見直しに関して首相は、「5年をめどに現行の2分の1から3分の1程度に大幅に削減を目指す」と述べるとともに、統合案は具体的な検証を行った結果だとの認識を示し、「数合わせ・場当たり的とのご指摘は当たらない」と強弁。道路特定財源の見直しについては基本方針に基本方針に基づき進めていくなどと答えた。
続いて岩本議員は税制改革をめぐり、「昨年の衆院選時の自民党マニュフェストには定率減税の廃止は全く触れていない」と強調。国民生活を圧迫する大衆増税の強行は日本経済に冷水を浴びせることにもなり、それ以上に公約違反そのものであると指摘し、同時に、定率減税は所得税の抜本的な見直しを行うまでの間行うと定めた法律に反するものだと述べ、定率減税廃止を行わないと約束するよう小泉首相に迫った。
しかし首相は「定率減税は経済状況を踏まえて見直していくとの道筋について与党税制大綱等に既に示されている」などと述べ、あくまで定率減税廃止を断行する構えを見せた。
耐震強度偽装問題をめぐっては、問題の本質、建築確認申請を民間の指定確認機関に委ねたことは正しかったか等を小泉首相、北側国交相に質すとともに、建築基準法の抜本改正の必要性を岩本議員は指摘した。
首相は、阪神・淡路大震災を教訓に基づき民間機関による建築確認が始まったとの認識を示し、「民間開放により制度の実効性が確実に上がった」と述べるとともに、「官から民への流れに間違いはなかった」と断言。北側国交相も同様の見解を示した。一方で首相は「建築確認検査制度そのものの見直しが必要」と語り、建築基本法の改正を明言した。
耐震強度偽装問題をめぐる政治家の関係ついては、岩元議員がヒューザーの小嶋進社長との関係が取り沙汰されている伊藤公介元国土庁長官の関与について「政治家としては明らかに逸脱した行為」とその問題性を指摘。また、先の衆議院における証人喚問で安倍官房長官の政策秘書の名前が出てきたことにもふれ、官房長官に答弁を求めた。
こうした指摘に対し小泉首相は「伊藤議員の(働きかけ)で行政側が不当な影響を受けたことがないと聞いている」などと答弁。安倍官房長官も「私自身は小嶋社長と面識はない。問題となるような対応は一切していない」などとするだけで、民主党が求める真相究明に向けた伊藤議員の証人喚問に応じるか否か等には両者とも何ら言及しなかった。
続いて岩本議員はODAのあり方をめぐって追及。今後5年間でODAを約1兆2000億円増額し、特にアフリカには3年間で倍増すると首相が表明していることを取り上げ、財政は厳しい状況下にあり、自殺未遂者だけで毎年30万人という数字が示されている日本の現状を考えたとき、ODAは国益に資するよう実施されるべきだと指摘した。
二階経済産業相らに対しては中央省庁・地方自治体のシステム化に関連して質問。10数年前からコンピューター企業とともに進めてきたシステム化に伴う資産規模は、中央と地方合わせて計3兆4980億円にのぼることに岩本議員はふれ、にもかかわらず年間10億円以上の経費を要する中央省庁の情報システムの約8割が「過去の遺物」にすぎないことを指摘。随意契約がとられ、競争原理が働かないことによってこうした事態に陥っていることを明らかにした上で岩本議員は、十分な検証を行い、高性能を有するオープンシステムに切り替えていくよう注文をつけた。
また、イラク問題に関しても小泉首相に質問。イラク国内における大量破壊兵器の存在を理由に米国によるイラク攻撃をいち早く表明した首相の見識を改めて問題視し、大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことを認め、国民に謝罪したブッシュ大統領同様、首相も自らの非を認めるべきだと主張した。同時に、自衛隊を守る英国軍やオーストラリア軍の撤退も報じられているなか、自衛隊は速やかに撤退させるべきだとの考えを示した岩本議員は、撤退に向けた具体的道筋を早急に示すよう小泉首相に求めた。
さらに、乗り物の安全確保に向け、微妙なトラブルについても国に報告するよう定める航空法改正案を政府が準備していることに関連して「正直に報告した場合は処分を軽くするとともに、その情報を会社・業界・業界が共有できるようにしていくことが事故防止に繋がる」と指摘。前向きな取り組みを政府に要請した。
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