ニュース
ニュース
2006/01/26
【衆院予算委】松本政調会長、米国産輸入牛肉問題等を厳しく追及


 26日午後、衆議院予算委員会において平成17年度補正予算についての基本的質疑が行われ、民主党・無所属クラブのトップバッターとして、松本剛明政策調査会長が質問に立ち、アスベスト対策、子どもの安全の問題に触れつつ、補正予算に関する民主党の考え方を紹介。米国産牛肉輸入問題についても、政治の責任という観点から関係閣僚を厳しく問い質した。

 松本議員はまず今回の補正予算についての基本方針を小泉首相に問いつつ、「緊急のものから取り組む必要がある」ことを指摘。災害対策費として計上されている5700億円余の中に今回の豪雪対策等の災害対策費は含まれていないことの問題点を質した。

 続いてアスベスト対策について松本議員は触れ、関係省庁間の連絡が不十分であったことも含め、そもそも政府に責任があるのではないかと質問。小泉首相も、「改善すべき点をよく検討しなければならない」と答弁した。松本議員はこれに対して、政治の不作為の責任を認めるかは、政治決断以外の何ものでもないとし、「患者さんの声を直接お聞きになっていただきたい」と要望。対策に関し再考を求めた。同時に松本議員は、労災を受ける方と新たな救済制度を受ける方で著しい格差がある点について、再考の余地はないのか小泉首相を質した。首相は、「関係各担当大臣・省庁が協力して提出している」などと取り合わず、松本議員は、「著しい格差は私どもは容認できない」と厳しく指摘した。

 子どもの安全についても松本議員は、補正予算にその項目もなく、対策と称して今までなされてきた施策に「緊急」という看板だけを足す政府のやり方を、「『緊急』の粉飾だ」と厳しく指摘し、「大変誠意がない」と批判した。また公立校の耐震化についても、早期に推進すべきとの考えを松本議員は改めて示し、小坂文科相を質したが、前向きの答弁はないままだった。

 松本議員はここで、政府案に対して民主党が提案する補正予算案を紹介した。まず、「建て物の安全」については、耐震診断費用を追加して150億円を計上。「子どもの安全」については7235億円を充て、不審者侵入対策、スクールバス整備、防犯灯の設置などに十分に配慮しつつ、公立小中学校等の耐震化対策や施設整備費に5541億円を計上する内容となっている。また、アスベスト被災者救済に25億円、除雪費用追加に200億円を計上。これに充てる財源には、NTT−B償還経費を削除することで対応する。この民主党案に対して小泉首相も、「考え方としては同意する点も多々ある」とし、松本議員は、民主党案の審議についても要求した。同時に、「いつやるかということが大変大事だと申し上げている」と強調し、公立校の耐震化を10年先にやるのか、3年先か今年か、大きな違いになるとして、積極的な対応を強く求めた。

 米国産牛肉の輸入再開問題についても松本議員は追及を展開。まず、米国から輸入された牛肉に特定危険部位である脊柱が混入していた問題について、その責任の所在を質した。小泉首相は、「日米の合意を順守しなかった、関連した米国側の関係者にルール違反の責任がある」とし、松本議員は米国への抗議の意志の有無を確認した。

 更に日本における検査態勢についても松本議員は触れ、「残念ながら、書類審査の件数ごとにはどこかを開けるが、全箱開けているわけではない」との事実を確認。米国産牛肉が、必ず安全ではないということではないが、現在も流通途上にあるものがある、と指摘した。中川農水相は、もう流通している米国産牛肉については、「関係業者に念のために、もう一度確認を求めている」とした。

 松本議員は、20ヶ月齢以下、危険部位の除去、という前提条件がそもそも守られているのかに言及し、松田食品安全担当相を質した。その上で、米国の規則では月齢や危険部位に関し、日本とは根本的に認識がずれている点を確認しつつ、食品安全委員会の報告書でも、付帯事項に屠畜場での監視等の必要性に言及している点を指摘。こうした結論を昨年12月12日に得て、翌13日に視察団が米国に出発したが、同16日には既にわが国に米国産牛肉が届いた事実を松本議員は述べ、「これでは報告に従ったということにならないのではないか」として中川農水相を質した。中川農水相は、日本側に問題はないとの主旨の答弁に終始した。

 そして、米国産牛肉の拙速な輸入再開には民主党だけでなく、多方面から懸念が寄せられていた状況であったにも関わらず、食品安全委員会の報告後すぐに輸入再開の判断をした政府の責任について松本議員は質し、「過ちは早く認めた方がいい」と首相に詰め寄った。小泉首相は、「専門家の皆さんの報告を踏まえてきちっと対応した」とし、何かあれば輸入停止という決まり通り対応しているなどと開き直ったため、松本議員は、「駄目だったら、その時止めればいいという話ではない」として、食べ物の安心に真剣に取り組もうとしない首相の姿勢に厳しい批判を加えた。

 そして米国での牛の月齢の判定についても、30秒にほぼ1頭の検査で、しかも安全の観点でなく販売の値段がつける担当者が実施している点など、数々の懸念を松本議員は改めて指摘。ジョハンズ米農務長官が、今回の件は食品安全の問題ではないなどと述べていることにも言及しつつ、政府の姿勢が国民の目線に立って食べ物の安全を守る態勢になっていない点を指摘して質問を終えた。
記事を印刷する