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2006/01/30
【衆院予算委】松野議員、輸入再開決定に関し農水相の責任を追及


30日、衆議院予算委員会の午前の質疑で、民主党・無所属クラブの最後に質問に立った松野頼久(国会対策委員会副委員長)衆院議員は、BSE問題に関し、輸入再開前に現地調査を実施するとの政府見解を破って、輸入再開を決定した中川農林水産大臣の対応を厳しく追及した。

 松野議員は冒頭、12月に輸入再開された米国産牛肉の中に、特定危険部位である脊柱が混入した問題について、第一義的には米国の責任であると述べた上で、今回の問題発生に関する行政の責任について、中川農林水産大臣に見解を質した。中川農水相は「リスク管理機関である農水省は、国民の食の安全に責任を持っている」と答弁した。

 松野議員は、日本向け牛肉の輸出プログラムを守らせるために農水省が取った措置の内容について説明を求めた。そして、民主党の川内博史衆院議員提出の「BSE問題に関する質問主意書」に言及。輸出プログラムの輸出再開前の渡米確認検査について見解を求められた政府は、「厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要」との内容で、11月18日に答弁書を閣議決定していると指摘した。

 松野議員は、12月8日に食品安全委員会の答申が出てから12日の輸入再開決定までに、政府は閣議決定された答弁書にある見解どおりに現地調査を行ったのか確認。中川農水相は「現実には、11月18日以降、輸入再開までの間に米国に調査に行ったことはない。閣議決定どおりにしなかった」と答えた。松野議員は明確な説明を求め、審議は一時中断した。大島委員長は、閣議決定を伴った答弁書と異なる判断をした経過を整理するよう中川農水相に求め、松野議員の残りの質問時間は午後に送られた。

 午後に再開された予算委員会で、松野議員は「改めて閣議決定を守らなかったと言った理由を聞かせていただきたい」と要求。中川農水相は、最終的な日米協議の中で、実効性が担保されると判断したなどと説明を行い、「質問主意書に対する答弁の趣旨、『食の安全を守る』と言う趣旨については逸脱していない」と強弁。「答弁書を渡してから状況が変わった点を川内議員に説明しなかった点は申し訳ない」と発言し、自らの責任については否定した。

 松野議員は「閣議決定した答弁書と、輸入再開決めたプロセスでは、どちらが重いか」を問いただし、中川農水相は「形式的には閣議決定が重たいと考えている」と答えた。これを受けて松野議員は、決定を破った責任の所在を明らかにするよう求めたが、中川農水相は、状況が変化したが、食の安全を確保するという趣旨には変更がないとの答弁を繰り返した。

 「閣議決定したことを主任大臣が破ったと認めている」と松野議員は指摘し、誰がどういう理由で決定を覆したか、責任を明確にするように追及したが、中川農水相は状況が変化したと述べるのみで、丁寧な説明を行わなかった。松野議員は閣議決定を破った理由に答えていないと強く批判したが、大島委員長が松野議員の質問の終了と一般的質疑の終了を、一方的かつ強引に通告したため、民主党議員は委員会室を退室した。
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