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2005/06/21
【衆院郵政特】五十嵐議員、竹中秘書官への政府広報発注問題を追及




 衆議院郵政民営化に関する特別委員会で21日、民主党・無所属クラブの五十嵐文彦衆院議員が質問に立ち、郵政民営化をPRする約1億5000万円の政府広報を竹中郵政民営化担当相秘書官の知人が経営する会社・スリード社に随意契約で発注していた問題を中心に取り上げた。

 五十嵐議員はこの随意契約に関して、緊急を要さない限り、一般共同入札が原則であり、随意契約についても「緊急性を要し」「独創性を要す(他に競争業者がない)」場合だけに限定する等を規定した会計法第29条や、「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上のものから見積書を徴さなければならない」と定めた予算決算及び会計令第99条の6に違反するとの認識に立って追及した。

 政府側はこの間、「緊急性もあり、他に競争もなく、提案に独創性もあったため、随意契約に至った」との趣旨の答弁を繰り返してきたが、五十嵐議員は独自の調査に基づき入手したスリード社の「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」と提示。その内容には具体的な提案はなく、一般的な手法に過ぎないインフォメーショングラフィックスの提示はあるが、政府広報の作成をスリード社に発注しなければならない確たる根拠が見当たらない点を指摘した。インフォメーショングラフィックスは特異なものではないことを重ねて五十嵐議員は指摘し、「インフォメーショングラフィックスは極めてユニークで、ここでしかできないため、随意契約した」とする答弁に変更はないか質した。

 それに対して林大臣官房広報室長は、「判断にあたっては折り込みチラシという媒体が新聞に比べ、保存され、読み返される可能性が高く、じっくり読む可能性が高いと考えた。また、折り込みチラシにはインフォメーショングラフィックスは効果的な手法であり、政府広報としては珍しい手法と判断した」などとするだけで、「なぜ、スリード社に限定したか」の発注根拠に関しては明確な答弁を回避。「国会を侮辱しては困る」と五十嵐議員は厳しい口調でその答弁姿勢を批判し、数回にわたってこの点を追及したが、林室長は徹底して明確な答弁を拒み、審議は度々中断。委員長からも「明確な答弁を」との注意がなされるほど、不誠実な答弁が繰り返された。

 五十嵐議員はスリード社からのラフの提示を政府側は12月15日としているが事実は1月7日であったこと、また広報物の納品期限は2月6日で仕上がりは急を要したと政府側が主張しているが実際には「法案が成立してもいないのに政府広報を配布するのは問題」とする自民党議員の反対にあい、配布自体が2週間も先送りされたことなどを明示。随意契約を可能にする「緊急性」が存在しないことを、こうした点からも炙り出した。
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