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2006/02/03
【参院本会議】岡崎議員、総合的なアスベスト対策の推進を求める


 3日午後の参議院本会議で、「石綿による健康被害の救済に関する法律案」が議題とされ、与党の賛成多数で可決・成立した。採決に先立ち、反対討論を行った民主党・新緑風会の岡崎トミ子議員は、政府案の問題点を改めて指摘した上で、アスベスト対策を総合的に推進する必要性を訴えた。

 岡崎議員は冒頭、1970年代にアスベストの危険性について認識が深まり、各国で規制が強化されたなか、日本の対応は後手に回り続けたと指摘。「予防的アプローチの意識が当時は浸透しておらず、関係省庁間の連携も不足していた」などと認めたとしても、国は責任を免れないとの考えを示し、法案の審議に際して民主党が主張した「当事者も入れた第三者機関を設置して、過去の対応を研修すべき」との意見も、各省庁から受け入れられなかったと紹介した。

 岡崎議員は、法案の問題点に言及し、まず、法案による救済制度と労災補償との間に大きな格差があることを指摘。「アスベストによって深刻な健康被害を受けながら、労災補償の対象とならない皆さんに対して、すき間のない救済を、迅速に行うための法案」という政府の説明は当てはまらないとの認識を示した。

 また、潜伏期間が長いアスベスト関連疾病の被害者が、時効で労災の補償を受けられないという問題についても、解決が先延ばしになってしまったと主張。第161通常国会に民主党が提出した、アスベスト関連疾病については時効を適用しないという内容の労災法改正案が成立していれば、こうした制度上の不備による矛盾は起きなかったと述べた。

 政府の救済制度の財源に関しては、全事業者・国・地方公共団体が負担するという拠出の根拠や、国の最終的な給付負担割合が、あいまいなままであったと述べ、「アスベスト対策が後手に回った行政の責任を明確にし、政府自ら前面に立って説明責任を果たさない限り、理解は得られない」と語った。

 岡崎議員は、審議を通じて、問題の多さが明らかになった政府案に対して、民主党が「病状や個々の状況に応じて療養手当を増額できることとする」「就学援護費の支給をする」という二点に絞り、修正を求めると決断をしたものの、受け入れられなかったと報告。「この救済制度が、被害者に寄り添うものではないことを、あらためて浮き彫りにする結果になった」と振り返った。

 岡崎議員はその上で、アスベスト被害を受けられた方々やご家族の痛みと苦しみを和らげる努力に加えて、被害の拡大を食い止めるための総合的な取り組みが不可欠だと指摘し、身の回りのアスベストを計画的・段階的に除去し、廃棄し、無害化して「ノンアスベスト社会」を実現しなければ、国民の不安は決して消えることはないとの見解を示した。

 民主党の取り組みについては、事業者・国・地方公共団体の責務を定め、国民と一体になってアスベスト対策に総合的に取り組むための基本的枠組みを定める「アスベスト総合対策推進法案」を、前国会で政府に先駆けて提出したと紹介し、この法案の制定と、アスベスト対策を総合的に推進する必要性を強く訴えて討論を終えた。
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