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2006/02/03
【参院本会議】小林議員、国民不在の補正予算3案に反対の討論


 参議院本会議が3日、平成17年度補正予算3案を議題に開かれ、民主党・新緑風会の小林正夫議員が反対の立場から討論を行った。

 小林議員は冒頭、今国会を小泉内閣の総決算と位置づけている首相の認識に対して小泉政権下の5年間を振り返り、「構造改革」とは名ばかりで、その実態は競争をあおり、効率優先のなかで勝ち組と負け組を作り出し、格差社会の拡大、社会不安を増幅させる大失政と言うほかないと指摘。中小企業を取り巻く環境は依然厳しい状況にあり、地域間格差は拡大する一方であるとの見方を示した。定率減税の廃止、社会保険料の引き上げなどの負担増によって、国民は先行き不安を一層募らせているとも分析してみせた。

 同時に、経済効率の追求は勤労者に過酷な労働環境を強いることになり、社会の歪みはますます拡大し、社会不安が一層高まることは必至であるとも語り、ライブドア問題、構造計算偽装事件などはその象徴だとする見方を示した。また、米国産牛肉の輸入再開に当たり、閣議決定に反して事前調査を行わずに輸入再開に至った政府の姿勢を「言語道断の極み、中川農林水産大臣の責任は大変重いものである」と厳しい口調で批判するとともに、新たに発覚した防衛施設庁官製談合事件をめぐる政府の失政を重く受け止め、厳しく糾弾していく姿勢を表明しながら、補正予算反対の理由として以下の4点を提示した。

 反対理由の第一として小林議員は、構造計算偽装事件への政府対応が無責任なものとなっている点を取り上げ、建築確認の民間開放を行うのであれば、本来は適正さ、安全確保の徹底等を見極める政府によるチェック機能が不可欠であることを指摘し、「それこそが国民の生命・財産を守る、政府に課せられた責務である」と述べた。補正予算案に盛り込まれた対策では、そうした国の責任があいまいであるばかりか、被害住民に負担を押し付けるものとなっている点を問題視し、「全くの対処療法と言わざるを得ない」と語った。

 第二の反対理由として、アスベスト問題への対応の不十分さを指摘。その危険性は昭和47年には世界の共通認識となっていたにもかかわらず、政府対応が後手後手にまわるなかで多数の尊い生命が失われ、現在も被害者がしの恐怖におびえている点に言及した。1800億円の対策費が計上されているが、被害者の救済に充てるのはわずか388億円にすぎないことを小林議員は明らかにし、その不十分さを指摘した。
 
 第三の反対理由としては、緊急の課題であるにもかかわらず、犯罪から子どもを守るための子どもの安全対策費や対応が急がれる公立学校耐震化に向けた関連予算が何ら計上されていない点を取り上げた。
 
 さらに第四の反対理由として、小林議員は既定経費の削減の不十分さに言及。補正予算で既定経費1兆3697億円が減額されてはいるが、その4分の3は国債費の減額によるものにすぎず、政府は何ら歳出削減にむけた努力を怠っていることを浮き彫りにし、歳出の徹底的な見直しによる削減努力を政府に改めて強く求めた。
 
 最後に小林議員は、構造計算偽装事件、米国産牛肉輸入問題、ライブドア問題とも同じ構造であるとの認識を示し、米国からの改革要求を忠実に遂行した結果といえることを明らかにした。「政治の方向は間違っている」と強く主張した小林議員は、「数の力を背景に、国民不在の改革を進めていくことは断じて許すことはできない」と訴え、生活者の視点に立ち、国民の生活を守ることこそが政治の基本であると強調。「知恵と工夫の政治は民主党にしかできない」と述べ、反対討論を締めくくった。
 
 討論後に採決が行われ、賛成131、反対102で平成17年度補正予算3案は可決した。
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