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2006/03/03
【参院決算委】直嶋議員、施設庁談合事件、特別会計改革等質す


 参議院決算委員会で3日、総括質疑が行われ、民主党・新緑風会の直嶋正行議員が質問に立ち、防衛施設庁の官製談合事件、特別会計改革等について、小泉首相はじめ額賀防衛庁長官、谷垣財務大臣らに見解を質した。
 
 防衛施設庁の官製談合事件に関してはまず、防衛施設庁の発注工事が官製談合であったといつ認識したかについて額賀長官に質問。長官から新聞報道で知ったとの答弁を得たうえで直嶋議員は、「今回の事件では官製談合は天下りと不可分の関係にあることが明白になった」と改めて指摘。防衛施設庁は天下りのために談合のしくみを作り、民間企業は談合の見返りに天下りを認めるという構造ができあがり、官と民の目的が一致したのが今回の事件であると分析してみせた。同時に、「官製談合は国民全体の奉仕者であるはずの、そして公益のために働くべき公務員が、私益のために税金を使って、市場価格を操作し、国や国民に損害を与えている。これは明らかに重大な犯罪である」と指摘し、犯罪であり、反社会的行為であるとの認識があるかを小泉首相に質問した。
 
 これに対して首相は「官製談合は犯罪であるからこそ、いかに防止するか。与党においてもこの官製談合を防止するために、いかなる法改正が必要か準備をすすめている」と述べ、明確に「犯罪」であると答弁。国会でも十分に議論するとの姿勢を示した。

 議論を踏まえて直嶋議員は、天下り規制の在り方をめぐり、現行制度では国土交通省や防衛施設庁などの国の機関から関係営利企業への天下りは2年間できないと定めているが、実際には特殊法人・独立行政法人・公益法人などに2年間在籍した後に関係営利企業へ移る「迂回天下り」ともいえる状況が多発している実態を明らかにした。

 そうした現状認識に立って直嶋議員は、天下り禁止期間と迂回等についても規制強化の必要性を強調。国の機関から特殊法人・独立行政法人・公益法人への天下り禁止期間を5年とし、さらに特殊法人・独立行政法人等から関係営利企業への天下りも5年間禁止するとしている民主党案を成立させてこそ、天下り規制の実効性は高まるとの見方を示した。
 
 直嶋議員から民主党案への所見を問われた首相は、天下りを誘引する要因のひとつとの指摘もある公務員の早期退職慣行の見直しとあわせ、検討しているとした。直嶋議員は「こういう状況で従来通りのやり方で少しずつ先延ばししていくのは遅きに失する」として政府対応の遅さに苦言を呈し、時限立法でも早急に民主党案を成立させるよう要求。さらに「各党で議論を。私は独裁者ではない。協議を」などと無責任な答弁を繰り返す首相に、ノン規制である現状を早急に改善するよう重ねて強く求めた。

 続いて、同委員会で議決し、防衛庁における燃料入札談合事件に関連して、国の損失回復に努めるとの観点から、不当利得があった石油会社に対し返還請求するよう防衛庁に求めた決算審査措置要求決議に対し、防衛庁から示された返事に「防衛庁としては、今後とも、入札における公正かつ自由な競争を確保し、適切に対応してまいる所存である」と記されている点を、直嶋正行議員は取り上げた。

 数日後には防衛施設庁の幹部が逮捕されたという経緯を踏まえると、この一文は軽率ではないかとの認識に基づき、直嶋議員はどうしてこんな返事となったか納得できる説明を額賀長官に求めた。長官の答弁ともいえない経過説明に議論はしばしば中断、院としての質問に対しこの回答は参議院軽視も甚だしいと直嶋議員はきびしい口調で詰め寄ったが、長官は防衛庁として決意表明したものだなどとも答弁して、再び質疑は中断。この問題に関しては後刻理事会で協議されることとなった。

 続いて直嶋議員は特別会計改革について取り上げ、廃止や民営化がほとんどない政府の特別会計改革は改革に値しないと批判し、改革の基本はゼロベースで見直すことだと問題提起した。

 積立金を取り崩すことによる財政健全化への貢献に関しても直嶋議員は問題提起し、「年金の積立金など手がつけられないものもあるのは理解している」としたうえで、「財投の準備金の取り崩しなどもしているが、もっと出るのではないか」と指摘。30〜40兆円の取り崩しは可能ではないかとの見方を示し、具体的提案をしていくと表明。これに対し首相は「歓迎する。具体的に提案してほしい」と応じた。
 
 財政融資資金特別会計の繰越利益(積立金及び金利変動準備金)の推移を提示しつつ直嶋議員は、ゼロ金利のなかで金利変動準備金が平成11年度以降急増していることを指摘。「なぜこんなにたくさん溜めなければならないのか」として、約20兆円の取り崩しが可能であるとの認識を示すとともに、「低金利のなかで溜まったお金は国民に返すべき」と述べ、財務省の計算論拠を見直すなどして、積立金取り崩しを行うよう谷垣財務相に求めた。
 
 谷垣財務相は「今できることは行った」としたが、小泉首相は「こういう提案は歓迎する、検討する」として、直嶋議員の提案を歓迎する意向を重ねて示した。
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