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2006/03/06
【参院予算委】蓮舫議員、少子化対策、子どもの安全など質す


 6日午後、参議院予算委員会の基本的質疑が行われ、民主党・新緑風会から、三番手として蓮舫参議院議員(政策調査会副会長・副幹事長)が質問に立ち、子育てを実際に行っている母親の立場から、少子化対策の問題、子どもの安全の問題などに関して、小泉首相をはじめとする関係閣僚の取り組みを厳しく問い質した。

 蓮舫議員は冒頭、人口減少に転じた日本社会の現状に強い懸念を示し、政府が講じてきたこれまでの政策では不十分ではないかと指摘。滋賀県での事件なども取り上げつつ、通学時の子どもの安全の取り組みなどについてまず質した。その上で、これまでは、「仕事と子どもをもつ家庭への両立支援が中心」だったが、親の就労の有無に関わらず全ての保護者への支援の必要性を強調した。

 そして蓮舫議員は、平成18年度予算案に関し、毎年100名以上もの子どもが殺人事件の犠牲者となっている現状を指摘し、「今ある命を守ることも大切だ」として、育児をしている全ての親に安心して子育てを、と自信をもって言える予算案か、と迫った。小泉首相は、限りある予算をどう活用するかの問題だなどとしたが、蓮舫議員は納得せず、少子化対策への首相の熱意の無さを厳しく指摘。小泉首相は、「即効薬も万能薬もない」などとした。

 また猪口少子化担当相に対して、少子化対策予算が1兆円程度であることを確認した蓮舫議員は、天下り団体に交付された補助金が5兆5千億円もあることなどを引き合いに、この予算額で、出生率が上がり、子どもの安全が守られるのにふさわしい額なのか、厳しく問い質した。猪口担当相は、子ども・子育て応援プランを着実に実施し続けることが重要だなどとしたが、蓮舫議員は明確な答えを求め、予算編成で具体的にどんな努力をしたのかを更に質問を行った。

 蓮舫議員は、民主党でスクールバスの導入を検討していることを紹介しつつ、政府の見解を質した。猪口担当相は、導入も検討されるべきだと答弁。小坂文科相も相談を受けたとしつつ、既存の制度の中でまずできることをすべきなどとした。蓮舫議員は、問題の完全な解決にはならないが、こうした試みについても、「予算に反映されていないことは残念」などと指摘した。

 出産無料化に関する猪口担当相の発言については、事実確認を求める蓮舫議員に対して、猪口担当相は当初答弁を渋ったものの、「検討していくことは視野に入る」との発言を行ったことを認めた。蓮舫議員はその後の安倍官房長官の発言との食い違いを厳しく指摘。猪口担当相は、寄せられた意見を検討・分析しているところだなどと、しどろもどろの答弁となったが、蓮舫議員は「もう議論をしている段階ではない」としてその対応を批判。出産無料化には、少なくとも6000億円程度のの費用がかかるのではないかとして、何を財源にするつもりだったか、更に猪口担当相に迫った。猪口担当相は、財源のことを考えて提案したのではないなどとし、答弁の最後には、「ここは財務大臣にもお願いしたいところだ」と逃げたため、蓮舫議員は、「発言をする前に財務相とよく検討をしていただきたい」と厳しくたしなめた。

 子育て減税についても、わが国の税体系との関連から谷垣財務相の見解を質した蓮舫議員は、不妊治療に関して保険適用をすべきではないかと、川崎厚労相の見解を質した。川崎厚労相は、不妊治療の重要性を改めて認めた上で、少子化対策という面ではより役立つとして、しっかり議論することを約束した。蓮舫議員は、不妊治療休暇制度についても言及し、民主党としても提案を続けていくことを改めて表明した。

 蓮舫議員は続いて、女性の育児休業取得率に関して質問。平成16年度で女性が70.6%、男性が0.56%で、これをそれぞれ80%、10%にするよう目標を立てているとの川崎厚労相の答弁に対し、蓮舫議員は、「現実を反映していない」と批判を加え、仕事を持っていて妊娠をした人の7割が職場を辞めている現状などを指摘。内閣府の資料でも「常識のウソ」と紹介されているとして、川崎厚労相に厳しく質問した。川崎厚労相は、「見方の問題だ、統計というのはそういうもの」などとした。

 蓮舫議員は最後に、子どもの格差の問題を取り上げ、特に親の所得の差によって子どもの教育環境に非常に大きな格差が生まれていることを、具体的な数値を示して訴えるとともに、定率減税の全廃が子育て世帯に対しての増税感を生むとして、小泉首相の見解を質した。小泉首相は、「格差はある、しかし言われているほど日本は格差社会ではないという報告を受けていると言っている」と不明確な答弁に終始。

 蓮舫議員は、小泉首相や猪口担当相からの答弁を聞く限り、平成18年度予算案に、少子化対策などに取り組もうとする強い姿勢や指導力が見えないと批判。予算配分を大きく見直して少子化・人口問題に取り組んでいくという意欲を示すべきにも関わらず、そうは思えないと、子育てしている母親としての立場から指摘し、「子どもの安全を守るのは、民主党でなければできないという思いを改めて強くしている」などと述べて、質問を締めくくった。
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