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2006/03/06
【参院予算委】平野議員、金融緩和、三位一体改革などで論戦展開


 6日午後、参院予算委員会の総括質疑で平野達男参院議員が質問に立ち、金融の量的緩和解除問題、財政赤字問題、三位一体改革問題、米国産牛肉輸入再開問題、鳥インフルエンザ問題など広範な課題について、小泉内閣閣僚と論戦を戦わせた。

 第一に平野議員は、日銀の量的緩和政策解除について取り上げ、政府サイドから解除を牽制する発言が出ていることを問題とした。平野議員はまず、小泉首相の見解を問い質したが、首相は景気回復の兆しは見えてきたがデフレ脱却と言えるかどうか疑問だとし、政策変更に失敗は許されないと、緩和解除に慎重な姿勢を示した。平野議員は、何を以ってデフレ脱却と言い、それは誰が判断するのかについて、与謝野金融担当大臣に重ねて質問したが、デフレ脱却については様々な基準を示しつつも、誰が決定するのかについては曖昧な答弁に終始した。平野議員はこの点について、委員会として政府の正式見解を求め、委員長は理事会で協議するとした。

 平野議員は、大塚耕平議員の試算を援用して、量的緩和などの金融政策によって預金者から失われた利子は304兆円に上るとしつつ、この政策の最大の利得者は大きな負債を抱える政府ではないかと質した。これに対して谷垣財務大臣は、金利に関心を持っていると述べ、間接的に認める答弁を行った。平野議員はさらに、以前の金融緩和解除の失敗は、日銀の判断が正しかったにもかかわらず政府が反対することによって実施時期がずれた結果かもしれないとして、とりわけ首相の言葉で日銀の判断を制約すべきではないとした。これに対して首相は、改めてデフレを脱却していないとの判断を示しつつも、最終的には日銀の政策判断であることを確認した。

 第二に平野議員は、財政赤字問題を取り上げ、首相の在任期間中に国債の新規発行額が30兆円という状態が続いていることを問題とした。何故国債の新規発行額を抑えられないのかとの質問に対して、首相は景気が悪く税収が十分に得られなかったためであると答弁し、平野議員はマクロバランスの観点から一定の理解を示した。ここで平野議員は、全てにわたって自助努力と唱える首相に対して今日の景気回復が国民の血のにじむような自助努力によるものであることを確認した上で、デフレスパイラルの山を越えたらそのコストとして財政赤字の山が残ったとし、今こそ政治家の出番であると主張した。そして、あえて小泉内閣の負の遺産とは言わないと述べつつも、財政赤字問題への警鐘を鳴らした。

 第三に平野議員は、国からの補助金削減・地方への税源移譲・地方交付税改革という小泉内閣がすすめてきた三位一体改革を取り上げ、それが国の負担の削減にすぎない側面を指摘した。まず平野議員は、補助金額の削減が単に補助率の削減によって実現されている例が多いことを示し、これはかえって小額の補助金で地方自治体を縛ることになると指摘した。これに対して竹中総務大臣は、それはいわゆる骨太方針に反していないと強弁した。義務教育費国庫負担金の負担率の縮小の意義を問う質問に対して、小坂文科大臣は地方が裁量を増やすメッセージであるとの苦しい答弁を行った。税源移譲については、所得税を住民税にした結果として地方交付税が減るため、3兆円の税源移譲が実質2兆円規模となるとの平野議員の指摘に対して、総務大臣は3兆円の漸減移譲ができたことが画期的であると自画自賛の答弁に終始した。

 交付税改革について平野議員は、交付税特別会計の借り入れが膨大となったために一般会計からの特例加算に振替えられて来た部分が、三位一体改革の名の下に急速に削減されてきたのはおかしいと指摘した。そして、このように地方の自主性の名の下に国の負担を減らすのが三位一体改革の正体だと迫ったが、財務大臣も総務大臣も地方の裁量権も増やしてきたとの抽象的な答弁を行った。平野議員はこれらの答弁の中には従来語られていなかったことが多いと指摘し、当初からそれらのことを地方に伝えるべきだったと、政府の不誠実な姿勢を問題とした。また平野議員は、地方の中でも格差のばらつきがあり、格差の大きいところには十分に配慮すべきだと主張したが、首相は格差があるのは当然であり、それは程度の差の問題だとの答弁を頑固に繰り返した。これら質疑を踏まえて平野議員は、三位一体改革は言っていることとやっていることに差があると厳しく指摘した。

 第四に平野議員は、米国産牛肉輸入に関するBSE問題および鳥インフルエンザ問題を取り上げ、国民の信頼を得ることの必要性を強調した。平野議員は、日本国内でもBSE問題で当初国民の信頼を失うような行政の対応があったことをとりあげ、科学的知見の議論よりも政府がなすべきことをしていないから国民が安心できないと指摘し、アメリカに対しても安全管理の手続を見える形で行うよう求めるべきだと主張した。これに対して中川農水大臣は、アメリカ側に問い合わせをし、その内容を公表すると答弁した。

 平野議員は鳥インフルエンザは伝染に国境がないことを指摘し、特にアフリカにおいて伝染した場合の予防体制の脆弱性を訴えた。これに対して、農水大臣は、その恐れを認めつつ、日本が役割を果していくと答弁した。最後に平野議員は、民主党は大変な状態にはあるが政権後退は必要だと述べ、自公政権は妖怪の首をゆっくり洗って待っていて欲しいと、政権交代を目指す決意を述べた。
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