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1999/01/22
参議院本会議で峰崎直樹議員が代表質問
政府・与党の税制改正では不公平が拡大
 参議院は22日、昨日に引き続き小渕首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党による代表質問を行った。民主党から峰崎直樹参議院政調会長が質問に立った。

〈政府予算案の問題点〉

 政府予算案に関して峰崎議員は、1.財政構造の抜本見直しを先送りし、旧来型公共事業に頼った「なりふり構わぬバラマキ財政」 2.国債の大量発行による債券市場の混乱の懸念 3.地方財政悪化の構造的要因に対策が講じられていない----と3つの問題点をあげ、首相や宮沢蔵相の認識をただした。

 このうち、国債発行については「大型の財政出動を大量の国債発行に依存するため市中消化ができにくくなる」と同時に「郵便貯金の約250兆円の残高のうち、満期が大量に来る2000〜2001年で約58兆円が流出するため、資金運用部経由の国債引き受け能力が低下する」ために、国債市場の暴落による経済への悪影響が起こりうると指摘した。

〈地方財政危機〉

 また地方財政については「中央集権的な国家財政への従属構造が悪化をもたらした」として、「国の政策に追随すれば補助金の裏負担分の起債を認可され、おまけにその元利償還分まで交付税措置される」という画一的手法を批判。首相は「極めて厳しい状況にあると認識している」と述べたものの、「まずは景気回復が必要」と的外れな認識しか示さなかった。

〈税制改正〉

 税制については、「金融資産からの所得は20%の低率分離課税」であることや、「会社役員の豪華社宅の貸与など、フリンジ・ベネフィット(主たる所得以外の周辺的な所得)の多くが課税対象から抜け落ちている」ことを指摘し、課税ベースの拡大を図らず、最高税率だけを引き下げる政府・与党の税制改正案を「不公平を拡大する」と批判。「各段階の税率を比例的に引き下げる方式の方が国民の大半を占める中・低所得層の負担を軽減するためにも有効」と迫ったが、首相は「最高税率の引き下げは国民の意欲をひきだすもの」「腰を据えて抜本改革する」との言葉を何度も繰り返すばかりで、正面から答えようとはしなかった。

〈行政改革〉

 また峰崎議員は、行政改革について、中央官庁の縦割り人事制度、財投制度とも密接に関わる特殊法人等への天下り問題など、官僚の人事システムのあり方を抜本的に見直すよう、首相に求めた。

〈日債銀株取引〉

 さらに、日債銀が昨年暮れに金融再生法に基づいて特別公的管理に移されることが発表される直前、日債銀株の売買高が突然増加したことに触れ、「事前に情報を入手し得たものが売り抜けたのでは」と疑惑を指摘した。しかし答弁に立った柳沢金融再生委員長は「仮に悪質なものがあれば証券取引等監視委員会が告発するが、ここで個別の事案については答弁はできない」と述べるにとどまった。

〈国会改革〉

 最後に、峰崎議員は「今の本会議のやり方では一方通行であり、事前質問通告を受けて官僚が揚げ足を取られないように作った答弁書を読まれることで、論戦は全く迫力がなくなり、味気ないものに終始し、多くの聞いている議員も思わず睡魔に襲われる」と述べ、「国民の負託に応えるために本会議のあり方、議場のあり方を大きく変えるべきでは」と提案し、質問を終えた。
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