ニュース
ニュース
1999/01/25
「自自連立は三ない内閣」菅代表、中野政調会長が厳しく追及
民主党の菅直人代表は、25日から始まった衆院予算委員会の総括質疑でトップバッターとして質問に立ち、約3時間、安全保障や政府委員をめぐる自自連立合意や、日債銀問題、財政・金融分離、地方分権などについて、政府・与党の考えをただした。

 菅代表はまず、自自連立発足に対して、「選挙による国民の信任も国会の手続きもきちんとした政策合意もない、三ない内閣だ」と厳しく批判。「与党の組み替えをするならいったん総辞職すべき」と求めた。

 また、政府委員制度の廃止については「完全に廃止するのか。違った名前で残したりしないか」と小渕首相と自由党の野田自治相の見解をただした。野田自治相が「同じようなものができることはあってはならない」と明言したのに対し、首相は「政党間で協議する」「合意はできたが内容はこれから」などと腰の引けた対応に終始。菅代表が何度も念押しされて、しどろもどろになりながら、ようやく「(合意は)そのとおりだ」と答えた。


●大事な部分は答弁書棒読みの小渕首相

 また菅代表は、国連平和活動の多国籍軍への後方支援で「武力行使と一体化しない範囲でなら武器・弾薬の輸送は可能」との政府見解が報道されたことを取り上げ、「憲法の禁ずる戦争参加につながるのでは」と追及した。小渕首相は当初「政府としては考えているわけではない」と答弁したが、続いて「委員長の指名だから」と強引に答弁に立った高村外相が「政策判断としてはケース・バイ・ケースだがまったくあり得ない話ではない」と首相答弁を修正。菅代表が繰り返し追及したが、首相はこの後「武力行使と一体化しているか否かは、具体的な実態に即さずにあらかじめ判断を申し上げることは困難」と答弁書の棒読みを繰り返すばかり。ついに「この点は大森内閣法制局長官から答弁させる」と逃げ、野党席から失笑がもれた。

 さらに菅代表が、日米防衛協力のための新指針(ガイドライン)関連法案が、日米安保条約の対象範囲とされる「極東およびその周辺地域」を超えることがあるのかとただしたのに答え、首相は「絶対ありえない」と断言したが、高村外相は「日本周辺が極東を越えるか、越えないかということは関係がない」と述べ、ガイドラインにある「周辺事態」の範囲と安保条約の極東の範囲が直接関係しないとの認識を示し、政府内の見解の不一致が浮き彫りに。


●銀行経営者をかばう宮沢蔵相

 また、金融問題で菅代表は「野党案をもとにした金融再生法は機能しているが、政府案に基づく早期健全化法は機能していない」と主張、民主党案を取り入れるよう改めて求めた。柳沢金融再生委員長は「バランスシートを信用されるものにするために、目安として定量化した基準をつくりたい」と答えたが、宮沢蔵相は「資本注入は市場経済の上では、申請方式であるべきで、強制には反対」と反論。菅代表は「経営責任追及を恐れる現銀行経営者をかばった発言。日債銀や長銀の一次国有化を認めていて、強制がまずいというのは矛盾だ」と批判した。


●「財政・金融分離」で政府の及び腰明らかに

 さらに、大蔵省から金融部門を切り離す「財政・金融の分離」でも、政府の及び腰が明らかになった。昨年10月に民主、平和・改革、自民の与野党3会派は、今国会での法案成立と2000年1月からの完全分離で合意したが、小渕首相はこの日「中央省庁等改革基本法との整合性も考慮しなければ」と答弁。基本法では「2001年からの省庁再編で」としているため、菅代表は「納得できない。改革基本法と違う内容で合意した」と約束を守るよう迫った。野中官房長官は「三党合意を否定したり、おろそかにしたりするという意図ではない」と首相をかばったが、菅代表の厳しい追及に、言葉じりを捉えておもわず気色ばむ場面もあった。
記事を印刷する