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1999/01/28
[衆院予算委]小林守議員/吉野川可動堰・建設省のデータ隠し明らかに
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衆議院予算委員会総括質疑で28日、小林守議員は名古屋市の「藤前干潟」の問題を取り上げ、環境庁が埋め立て申請を最終的に認可せず名古屋市が計画を断念したことについて、「人工干潟を造ったとしても、全く埋め立ての代償たり得ないことが科学的に証明された」と評価し、代替地確保についての政府の対応をただした。
川崎運輸相は「広域的な検討を運輸省としてもサポートしたい。2ヶ月以内に誠意を持ってやろうと事務局に言い渡した」と前向きな姿勢を示した。小林議員は「今後ごみの解決は国・県・市町村各々が責任を持ち、対等協力で行う前例としたい」と民主党の立場を地方分権と関連させて主張した。
●河川行政の大きな転換期
また小林議員は、徳島市の吉野川第十堰改築問題について、住民投票条例請求に有権者の約半数の署名が集まったことを取り上げ、「(住民投票が行われれば)河川行政の大きな転換期だ。川が誰のものか、なぜ地元住民の意向とかけ離れるようになったのかが問われている」と従来の公共事業の決定の仕組みに疑問を呈した。
そして「従来の(建設推進の答申を出した)知事が指名するダム審議委員会方式では、責任の所在が不明瞭で民主主義と逆行する。また責任を取らない官僚が計画に参画している」として、人選・構成のあり方を変えるよう求めた。しかし、関谷建設相や小渕首相は消極的な姿勢を示しただけだった。
また小林議員の質問で、建設省が徳島県で進める吉野川可動堰(ぜき)建設問題で、現在の第十堰は撤去しなくても、堤防の安全ラインとされる「計画高水位」を超えないとする推測結果を、同省が1976年度の外部委託調査で得ていたことが明らかにされた。また別の調査では、堤防かさ上げなど別の治水対策の方が割安であるとしていた。いずれも「第十堰を撤去して新たに可動堰の建設が必要」とする現在の建設省の説明とは、矛盾する内容となっている。
この資料は、同可動堰事業を再検討したダム等建設事業審議委員会にも報告されておらず、小林議員は「不信の原因になるので、誠実に情報公開してほしい」と求めた。
●有害化学物質の調査が重要
また環境汚染物質排出移動登録(PRTR)の法律化について、小林議員は「わが国のダイオキシンなどによる大気・土壌汚染は欧米の十倍といわれている」と強調し、わが国の対策の遅れを批判。「この法律は有害性が判明しているものを対象としているが、現在は生殖毒性が心配されている」として、「杉並病」など化学物質が原因とされる病気の調査の重要性を訴えた。与謝野通産大臣は「化学物質の対象範囲については、国際情勢や科学者の意見を聞き今後検討する」と答弁した。
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