ニュース
ニュース
2006/03/09
【参院予算委】内藤議員、年金改革・医療制度改革の問題点を指摘


 参議院予算委員会で9日、一般質疑が行われ、民主党・新緑風会の内藤正光議員が質問に立ち、年金改革、医療制度改革の問題を取り上げ、川崎厚生労働大臣、谷垣財務大臣らの認識を質した。

 まず、年金改革に関して内藤議員は、政府・与党が目指す厚生年金と共済年金の統合について「必要なステップ」との見方を示したが、年金制度全体を考えた際、世代間の不公平、制度間の不公平など多くの問題を包括しており、そもそも国民年金を抜きにして年金改革など有り得ないとの疑問を呈した。
 
 その上で内藤議員は民主党が年金一元化の実現を目指していくことを改めて明らかにしつつ、「個人的には基礎年金部分の一元化が大事だと思う」と表明。続いて国民年金未納・未加入50%に及ぶことに言及し、損失補てんのごとく厚生年金・共済年金で穴埋めされていることを指摘。同時に、国民年金給付に必要な14兆円を本来なら年金に加入している現役世代7000万人で担うところ未納・未加入者増によって6000万人で担うこととなっている実態を問題視した。これをどう見るか質したのに対し、川崎厚労相は「払わない人は将来の給付がないということ」「単年度で見るか、サイクルで見るかの議論の違い」などと述べ、年金の全体構造で見れば問題ないとする認識を示し、谷垣財務相も同意した。

 内藤議員はこうした現在の不公平を十分に考慮しなければならないとして、年金未納者のツケを納入者が背負わされている現状改善の必要性を重ねて指摘した。
 
 続いて、医療制度改革を取り上げた内藤議員は「方向性は間違っていないが問題はその実効性にある。保険者機能について質問したい」と前置きして、諸問題を質した。
 
 新設される後期高齢者医療制度に関しては、運営主体(保険者)は都道府県単位で形成される市町村の連合体である広域連合で、ここが財政責任をもつことになることを明示したうえで内藤議員は、「一方で医療費適正化計画等を作成するのは都道府県。つまり、計画を作成するところと財政責任を負うところが別物となるわけだが、本当に連携が取れるのか」と問題提起した。実際に広域連合設置に関して知事会と市長会で意見のズレがあることを内藤議員は指摘し、連携がどう担保されるかによって法案の行方は決まってくることを重ねて言及。後期高齢者医療制度の運営に当たっては、市町村、広域連合、都道府県それぞれがどんな役割を担い、どう連携するか、十分に調整するよう要請した。
 
 続いて、保険者の統合再編の将来像を示すよう求めたのに対して川崎厚労相は「できるだけ大きい方がいいという概念に立てば、市町村国保についてもできるだけ大きな財政運営を進めていく」と答弁したが、今回の後期高齢者医療制度新設や政管健保の都道府県単位の再編のなかでは、市町村国保は「連携に入り出した」レベルであると述べ、将来的な都道府県レベルでの運営にむけ検討段階であるとした。
 
 内藤議員は「今回の法改正では市町村国保も財政調整をするようになった。将来的な姿はその単なる財政調整にとどまることなく、保険者そのものを都道府県単位の規模に再編統合していくことか」として、川崎厚労相に重ねて確認を求めたが、大臣は「正直なところそこまで議論が煮詰まっていない」と答弁するに留まった。

 適正化計画の具体的な中身として、平均在院日数短縮の問題を取り上げた内藤議員は、その議論の前提として疲労困憊ともいえる勤務医が置かれている厳しい勤務実態を把握する必要性を指摘。医師の確保が随所で必要になってくる実態を踏まえれば、厚生労働省として早急に検討し、勤務医の勤務実態改善に努めるよう注文をつけた。
 
 平均在院日数短縮に向け、在院数短縮に伴う引き続きの医療の受け皿として制度化される「在宅療養支援診療所」の実効性についても内藤議員は疑念を呈し、診療所設置には多くの医師の協力が必要であることをまず指摘。厚生労働省としてそうした現状認識に基づく緻密な試算と医師確保に向けた前向きな取り組みがなされない限り、その実効性は期待できないことを明らかにした。

 同時に、在宅日数短縮を目指したとしても老夫婦だけや高齢者の一人暮らしといった状況にある過疎地などでは、さらなる受け皿施設が必要となることを指摘した。
記事を印刷する