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2006/03/09
【参院予算委】犬塚議員、カネミ油症問題への対応を質す


 参議院予算委員会は9日、一般質疑を行い、民主党・新緑風会の犬塚直史議員は、カネミ油症問題への対応について関係大臣に質問した。

 冒頭、犬塚議員は、国民の食の安全を守るという観点から、未曾有の食中毒事件であるカネミ油症の問題を取り上げたいと述べた。続いて事件の概要を説明し、公の記録である「全国食中毒事件録」には、事件に関する記述が極めて少ないと指摘。当時の厚生省に、西日本の各県から報告書が集まっていないか質した。

 犬塚議員はまた、原因食品の摂取により症状が出ている食中毒事件にもかかわらず、油症問題では、未だに認定されない被害者がいる状況を指摘。当時の患者による陳述書の一部を紹介した上、認定基準には法的な根拠が無く、医学的な根拠も弱いとの見解を示した。

 犬塚議員は、韓国において枯葉剤後遺症を認定する際の基準にも言及。カネミ油症の認定においても、同様に柔軟な対応が取られるべきだとして、「政治家としてどう思うか」と迫った。犬塚議員の強い態度を受けて、川崎厚労相は「厚労省に資料が集まっていないという事態があれば、調べさせてその実態を明らかにする」と答弁。犬塚議員は、疫学調査の資料や届出患者数に関する調査を重ねて求めた。

 犬塚議員は、事件当時の行政措置についても確認し、食中毒被害の拡大防止のために、販売禁止と移動禁止に加えて製品回収命令や廃棄がなされるべきであったとの見解を示した。その上で、恒久的な対策として(1)国の責任において事件の全体像を把握する、(2)何らかの症状がある全被害者を対象とする、(3)油症手帳を発行し、全国の病院で治療が受けられるようにする、(4)PCBダイオキシン等の健康被害専門の機関を作って患者に研究協力金を払う、(5)仮払金については債権管理法の弾力的な運用と実質的な債権放棄、などからなる、被害者の5点の要望を検討するように要請。川崎厚労相は、各党の議論を注意深く見守ると述べ、中川農水相も、債務免除の適用の検討を含め、政府として相談してゆきたいなどと答弁した。
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