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2005/08/29
「政権交代で日本刷新」党首討論会で岡田代表が不退転の決意
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衆院選の公示を翌日に控え、各政党の党首討論会が29日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで開かれ、民主党の岡田克也代表は、「政権交代がなければこの国は変わらない」と不退転の決意を述べた。
討論会の冒頭、各党が今回の選挙で有権者に何を一番訴えたいかを2分間の持ち時間で表明した。
岡田代表の発言要旨は次のとおり。
今年は戦後60年。今、日本は曲がり角にある。人口減少時代の到来、そして右肩上がりの経済はとっくの昔に終わった。1000兆円近い国と地方の借金がある。そして中間層の厚みは失われ、二極化が進んでいる。多くの国民は将来に不安を感じている。このままでは希望は見えない。こういった強い危機感を感じ、日本を刷新していきたい。
日本の将来を左右する社会保障制度の再構築、教育、子育て、分権あるいは外交など重要テーマについて、民主党はマニフェストにその具体的な解決策を示した。しっかりと国民の皆さんにそのことを訴えていきたい。
特に強調したいのは年金と子育てだ。政治の役割は国民の幸せを実現することにある。老後の不安があっては幸せにならない。すべての人に月額7万円を支給する最低保障年金制度の創設、そして、年金制度の一元化を提案している。子育ては産みたくても産めない人々に対して、社会全体で支えていくべきだ。月額1万6千円の子育て手当を導入する。この最低保障年金制度も子育て支援も、両方とも財源を明示して提案している。社会保障、子育て支援、公立の小中学校の立て直しなど、予算が必要なところにはもっと投入する。
同時に財政再建を両立するというのが民主党の考え方だ。3年間で徹底的にムダ遣いをやめて、予算配分をコンクリートからヒトに変えていく。そのことで10兆円の歳出削減を実現する。岡田政権500日プランで示したように、総理直属の行政刷新会議を創設して、国直轄の公共事業の半減、特殊法人の改革、国家公務員の繰人件費の2割削減などを実現する。小泉首相の下でこのような改革はできなかった。強い使命感を持って、この国を刷新していく。政権交代がなければこの国は変わらないという思いを抱きながら、強いリーダーシップを発揮して、そしてこの国をなんとかして刷新していきたい。
●はぐらかし、開き直りの首相発言
相手を指名しての党首間の質疑応答で、岡田代表は「国民年金の未納者が1100万人いる。将来の無年金者は続出は明らか」として、小泉首相に国民年金の現状に対する打開策を質した。
ところが小泉首相は問いにまともに答えず、「与野党の協議会で議論している」と端から議論をすり替えた。岡田代表が再度問いただしても、何ら具体的な答えを示そうとしなかった。
さらに岡田代表が「これだけ年金の不払いがあるひとつの原因は総理にある。『いろいろ発言』での開き直りで、まじめに保険料を払っている国民はいやになってしまう。あの発言を謝罪すべき」と迫ったのに対し、首相は「どこがいけないの
か。人生いろいろ、会社もいろいろ、年金もいろいろ、当たり前です。私はごく普通のことを言っている。きちんと保険料を払った方にはきちんと給付する」とさらに開き直り、会場に詰め掛けた記者からも苦笑が起きた。
岡田代表は「少ない所得の中で保険料を払っている国民の痛みがわかっていない。国民の感覚から離れすぎている。一国の総理の態度ではない」と色をなして非難し、質問をうちきった。
●経営が成り立たない小泉民営化には反対
攻守が代わり、小泉首相は逆に「民間にできることは民間で、といいながらどうして郵政民営化に反対するのか」と質問した。
岡田代表は「従来から郵貯・簡保は民営化が筋であると申し上げてきた。それは民営化で経営ができることが前提。今回の法案ではそうなっていない。210兆円の資金をもつ郵貯銀行がどうやって稼ぐのかがまったくわからない。通常国会で質問してもまったく答えがなかった。国民の預けたお金がきちんと返ってこないことになりかねない。日本経済全体に及ぼす悪影響は大きいし、ここの預金者に対して決してよくない。そのため信念を持って反対した」と説明した。
首相は常套句のように「なぜ国会審議中に対案を出さなかったのか」との民主党批判を展開したが、岡田代表は「通常国会冒頭ではっきり申し上げている。総理は答えなかった。対案は法案の形では出していないが、われわれは国会質疑の中で何度も提案しているし、過去2回のマニフェストにも明確に書いてある」と切り返した。
首相の「なぜ公務員じゃなければならないのか」との質問には、「国鉄職員も公務員ではなかった。公務員である必要は必ずしもない。ただ、国民の皆さんも誤解しているが、郵政公社の職員の給与は収益ですべてまかなわれて税金は一円も使われていない。民営化すれば行財政改革になるというのは間違いだ」と反論した。
首相は「民営化した会社は法人税を納める」と言い返したが、「現在でも国庫に2兆円の剰余金を納めている。将来法人税を払うだけの利益が出るのか」と岡田代表は逆に切り返し、表面的な言葉を繰り返す首相の主張にひとつひとつ反証した。
● 役人の言うことを前提にするのは無責任
公明党の神崎代表は民主党の子育て支援策について「財源をどうするのか。財政当局と折衝して財源を確保するのは大変なことだ。野党だから金額を膨らませているだけ」と迫ったが、岡田代表は「財政当局と交渉して、という発想そのものがおかしい。われわれは政治家だ。財政当局に指示をすればいい、説得する必要はない。控除の廃止でも足りない財源は全体の歳出削減の中で補っていく」と述べた。
岡田代表は、神崎代表の「17兆円もの歳出削減は国民生活を破壊する」とのいわれのない批判に対し、「公共事業費を半分にしたら維持管理だけで新規にはできないというのは役人の言い訳だ。もっとコストを下げたり、談合をやめさせればいい。役人の言うことを前提にして、できないと言うのは政治家、政党としてきわめて無責任だと」と逆襲した。
記者クラブの質問の中で、財政再建と増税について、岡田代表は「最初の3年間は財政改革のための増税はしない。ただし年金保険料のための消費税3%アップは行うが、保険料の減額で差し引きゼロになる。国民の皆さんがやむをえないと思っていただけるまで歳出改革をやり、増税が必要になれば次の選挙で国民の信を問う」と今後の道筋を述べた。
また国家公務員総人件費の削減に関連し、「地方公務員の目標が明記されていない」との問いがあり、岡田代表は「地方公務員は国が強制的にできる仕組みではな
い。すでに多くの市町村長や知事が組合と交渉して引き下げる努力をしている。国家公務員の給与が下がれば圧力となって、まだのところも取り組まざるを得ない。強制ではなく奨励していく」と方向性を示した。
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