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2006/03/14
【参院予算委】主濱議員、米国産牛肉輸入再開めぐる政府対応追及


 参議院予算委員会で14日、一般質疑が行われ、民主党・新緑風会の主濱了議員が質問に立ち、米国産牛肉の輸入再開をめぐる日米両政府の対応等について、中川農林水産大臣、川崎厚生労働大臣、谷垣財務大臣らに質問した。
 
 主濱議員は冒頭、世界貿易機関(WTO)の主要少数国非公式閣僚会議に出席するためロンドンを訪問した中川農水相が10日、ジョハンズ米農務長官と会談したことに言及。米国産の輸入牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していた問題を話し合ったことを改めて確認し、その会談内容を質した。
 
 中川農水相は、ジョハンズ長官が問題解決に向けて前向きな姿勢を示したことを説明したうえで、米農務省がまとめた調査報告書の疑問点を日本政府が照会した件に関して、米農務省が「来週中に回答を示す」と応じたことも明らかにした。
 
 続いて主濱議員は「米国側が『単なる例外的ミス』と釈明しようとしてきたが、現状を予想する事態が続いていた」と述べ、米国基準の30カ月齢以上の特定危険部位の除去が不十分だと報告されている米国農務省監査局の監査報告、2004年の1月〜2005年5月までの136件の違反事件を指摘した05年8月の米国農務省報告、歩行困難牛が食肉に回されたと指摘した報道等を列挙した。加えて、香港でも米国産牛肉に骨が混入した事態を見ると、米国の輸出条件違反は起こるべくして起こったとの見方が妥当だと指摘した。そうした米国における牛肉の杜撰な取り扱いについてどう見るか問われた川崎厚労相は「2つの処理施設でだけ起きているものではないという前提で議論していく」と応じた。

 3頭目のBSE感染牛が確認されたにもかかわらず、米国農務省はBSE拡大調査費用の要求を見送り、その結果BSE調査費が10分の1に縮小される見通しである点も主濱議員は憂慮し、「BSEの検査がなければBSEがないということになる」と指摘。この対応をどう考えるか質された中川農水相は「照会中である」とした。

 また、グアム発の日本航空の幼児用機内食に米国牛肉が混入していた点を「非常に残念」と指摘した主濱議員は、国内で積み込む機内食は食品安全法が適用されることを川崎厚労相の答弁から確認したえで、国内発だけでなく、外国発で日本に向かう便の機内食についても安全確保に向けた手立てを講じる必要性を浮き彫りにした。また、米国産牛肉の輸入に関する一連の動きについて「米国の高圧的な態度と、日本の隷属的な立場が目に付く」としたうえで、本来であれば売り手が主導権をもつのではなく、買い手である輸入国が中心になるべきで、買い手である日本国が主導で査察すべきだと改めて問題提起した。
 
 香港に輸出した米国産牛肉から骨が見つかった問題についても主濱議員は再度取り上げ、問題の牛肉は、コロラド州にある米食肉加工大手スイフト・ビーフ社グリーリー加工場で処理されたもので、同加工場は、日本政府が05年12月に現地調査を実施した対日輸出認定工場である点を問題視した。主濱議員は「昨年末に(日本政府が)査察して『問題なし』としていたところ。足元から日本政府の査察の信頼が揺らいでいる」と指摘。川崎厚労相、中川農水相に、国民の信頼回復につながる、本来求められる査察実施を強く求めた。
 
 特定危険部位の除去を前提に輸出プログラムを規定した食品安全委員会の答申を改めて取り上げた主濱議員は、「裏を返せば輸出プログラムを履行されなければ安全とは言えないと言っていると読める」と指摘。輸出プログラムが守られなかった事態が発生した現時点においては、特定危険部位除去の体制が確立しているかの再チェックはじめ、さらなる輸出プログラムを検討したうえで再再開を行うのが日本政府の本来の姿だと指摘した。しかし、中川農水相は「現状のままで妥当」とする姿勢を示すに留まった。
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